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加藤の頭の中は、大混乱が生じていた。
・・・まて、俺よ落ち着け。
友だちの性癖を知ったくらいで、ビビんな俺ッ!
新里は言った。
『加藤、拘束って言ったの覚えているか。』
正直、覚えていない。
暗号を考えるのに夢中で、さっぱり聞いていなかった。
『やっぱりさ、ああいうのって鬱血するよな。』
そりゃするだろ!
縛るんだろ?
エッチな動画に亀甲縛りとか、なんかそういうのあったりしたけど、興味がなかったから手を出した事はない。
でも、確かに赤い襦袢を着た豊満なオネーサンが、むちむちの肉体を亀甲縛りされたら、そりゃ色っぽいし、堪んないと思う。
かと言って、咲ちゃんに亀甲縛りをしようもんなら、俺は絶対殺されてしまうだろう。
逆に亀甲縛りにされて、海に沈められるかもしれない。
「その、新里ってさ・・・。」
「ん?」
昔からドSだったの?
言いかけてやめた。
流石に、それは聞けない。
「いや、なんでもない。」
「変なヤツ。」
いや、変態なの新里だろ?!
ザワザワとした周辺の声を聞きながら、バクバクと跳ねる心臓を落ち着かせた。
きっと、拘束だの鬱血だのって聞き違いをしたに違いない。
だって、縛るのが趣味だなんてカミングアウトされたら、うちのアルバムに入ってる新里の結婚式の写真なんて二度と見れない。
だって、元嫁も縛られてたってことだろ?!
そんなピンクな想像、失礼過ぎてムリムリムリッ!!
大丈夫、きっと聞き違いだ。
もう一度、聞いてみよう。
「さっき・・・。」
ごくりと喉が鳴った。
「さっき話してた話なんだけど。」
お願いだ!
聞き違いだと言ってくれ!
「ああ、拘束のこと?」
ひぇぇ!!
間違いない、元嫁ちゃんは、縛られるのが嫌で逃げ出しちゃったのかもしれない!!
どうする?
どうする、俺・・・。
ここは友だちのために、遠回しに教えるしかないよね?!
「・・・酷くしちゃうと逃げちゃうよね。」
遠回しに伝えると、新里はシレッと返事をした。
「だな。なんであんなのがあったんだろうって思うよ。」
「え?!」
「え?」
目が溢れ落ちるかと思った。
ロープ以外に何があったんだ?!
手錠?手錠か?!
恐る恐る聞いてみた。
「どんなのがあったの?」
「どんなのって・・・。ピアスとか?」
「ピアス?!」
ここここここここ、拘束した上に、
「穴まで開けたのか?」
ピアッサーの針を思い出して、ゾッとなった。
「開けないよ。俺がピアスって変だろ?」
・・・良かった。
そこまでは鬼畜になっていないらしい。
流血だけは勘弁だぜ。
でも、やっぱり自分の性癖を相手に押し付けるのは良くない。
ここは俺が、相手の子への罪悪感を引き出さねばならない!
「だよな。でも、」
ジッと新里の目を見つめた。
「縛ったんだろ?」
「は?」
新里は首を傾げて言った。
「縛られてたんだよ。」
ええええええーーーーーーーーーーーーーッ!!
「でも今にして思えば、その時の自分は青春してたなって思う。」
くらりときた。
地面が、絶対揺れた。
「お前、大丈夫か?貧血?」
「だだ、大丈夫。」
心配して俺の腕を握った新里の指を、ゆっくりと剥がした。
・・・まさかのドM!!
「大丈夫、大丈夫だ。ちょっとビビっただけで。」
鞭が見えた。
ろうそくも見えた。
まだ見たことのない忍ちゃんが鞭を振るう姿も見えた気がした。
超ドSの忍ちゃんと、ドMの新里。
納得した。
あの手紙の意味がよく分かった。
『賞味期限切れの卵って、どういうこと?』
つまり賞味期限切れの卵とは、新里のナニだ。
ナニってことは、セックスが気に入らなかったという意味だ!
『賞味期限切れの卵って、どういうこと?』
加藤訳:つまんねぇセックスしてんじゃねーよ!
・・・ああ、どうしよう。
忍ちゃんのことを諦めるように説得した方が良いのかな?
胸がドキドキする。
こんなこと、咲ちゃんにも相談出来ない。
「ああーーーーーっっ!!」
「うっさい!」
新里の毒吐きを無視して頭を掻きむしった。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
友だちが実らない恋をしているようです!
俺はどうしたら良いですかーーーッ?!
加藤の苦悩は、当分続きそうだった。
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