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「悪いごはいねがー!!悪いごはいねがー!!」
どう見ても、節分の鬼!赤鬼が登場した。
顔は節分の時期に良く見るプラスチックのお面で、下はジャージだ。
明らかに、どう見ても!節分ルックである。
なのにナマハゲ口調で店の入り口から現れた。
「いだー!悪いごーー!!」
真っ直ぐにぼくに向かってくる鬼に、腰が引けた。
「何やってるの!鬼にはこれよ!!」
叱咤した山田さんが空っぽのはずの冷蔵庫から取り出したのは、おつまみ豆の小分けパックの山だ。
あるはずのない小分けパックをむんずと掴んだ山田さんは、振りかぶって鬼に投げつけた。
「鬼はぁ外ッ!!」
「いでーーーーーーッ!!」
悲鳴を上げた鬼に、口をあんぐり開けた。
え、え、ええーーー?!
異常なくらい痛がる様子に、ぼくはびっくりして足元がふらついた。
なに、この人!
てか、山田さん何者?!
状況が信じられなくて山田さんを見上げると、格好良くニヤリと笑われた。
「ね?鬼にはコレなの。」
あ、そうだ!
おじさんは?!
おじさんが立っていたはずの場所から、おじさんはある意味、消えていた。
歩さんが寝ているソファ席のテーブルに頭を隠して大袈裟に怖がっていたのだ。
「ひぃー!鬼ダー!助ケテクレーッ!!」
・・・初めて見た。
三文芝居。
「忍チャン、助ケテ〜!」
「ちょ、」
おじさん!
悪ノリしているおじさんを止めようと声を上げると、
「おや、悪い子の匂いがするぞ。」
可愛らしい声のほっそりした青鬼が店の入り口に現れた。
「あ、おにいちゃん、本当だ。」
ピンク鬼も後ろから現れた。
「おにいちゃん、あの子、厄病神が憑いてるって言うヤツだよ。」
「全然憑いてないのにね。そんな自分のことを悪く言う子は、パクッと一口で食べちゃうぞー!」
「食べちゃうぞー!」
思わず、両手で口を押さえた。
あ、明らかに手作りお面に手作り衣装・・・っ!
ヒョウ柄の鬼のパンツは、前にリボンが付いていた。
しかも、立ち振る舞いが慣れてる!!
「何してるの!はい、お豆!!」
ぼくは、山田さんに握らされたおつまみ豆を、呆然と見つめた。
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