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65※
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シャワーが弾ける。
弾けて、その水の流れでさえぼくを悩ませた。
「ぁ、ぁ、ぁッ!!」
肩から浴びせられたシャワーの下で、歩さんがぼくの起立したソコを嬲っている。
大きく足を開いて震える体を必死に立たせながら、歩さんの濡れた頭を掻きまわした。
さっきから、ぼくの体の奥をくにくにと悪戯する悪い指は、少しずつ奥へと入り込み、揺れ動かしている。
その振動のたびにシャワーのお湯がナカに入っていくようで、ぼくは違和感にプルプルと震えた。
「・・・忍、緩めて。」
「わ、かんない!」
分からない、緩めるなんて知らない!
だってあの日、歩さんは最後までシていない。
ぼくは初めてで、そんなところを弄られるなんて知識の上でしかわからなかった。
嘘つきは、ぼくだ。
さも、関係があったかのように振る舞った。
「はじ、めて、だ、から・・・ッ!」
もうイキそう。
咥えられたソコが弾け飛びそう。
なのに、歩さんはソコから口を離した。
「・・・やっぱり!」
大きな声をあげて、ぼくの肩を掴んだ。
ぼくは叱られるのかと、ギュッと目を瞑った。
「良かった!!」
・・・え?
気がついたときには、力いっぱい抱きしめられていた。
「良かった、良かった・・・っ!酒に溺れて忍を襲ったのかと思ってたから、本当良かった!」
・・・よかっ・・・た?
「俺は最低な大人だって自覚してる。忍の優しさにつけ込んで、自分勝手な理屈で忍のことを手に入れようとしてるからだ。」
湯気が肺の奥まで入っていく。
「だからこそ、忍のことは大切にしたいと思ってる。」
歩さんの声は、頭の奥に響いた。
「・・・初めてなんだな?」
こくんと頷いた。
「大切にする。大事に大事にする。」
歩さんは、ぼくの心を酔わせる。
酔わせて、ふわふわしたぼくを拐っていくのだ。
「好きだよ、忍。」
好き・・・。
そう言われると、胸がキュンとなった。
「・・・悪い大人で、よからぬ事を企む鬼で、優しい魔法使いだよね。」
「ふふ、最後のは良く分からないな。」
湿気った空気は、気持ち良い。
原始の森も、こうだったんだろうか。
生きてるって感じがした。
「悪い大人と鬼は自覚あるの?」
「めちゃくちゃある。もはや、そのものだな。」
悪ぶる大人は、余裕しゃくしゃくで。
ぼくは歩さんの肩を押して体を離した。
「・・・ぼくは嘘つきだよ。」
「その嘘があったから、今、俺はここにいる。」
優しく頭を梳かれた。
「全ては今に繋がってる。過去の忍のおかげなんだ。」
あの時、外に出たから会えた。
あの時、歩さんが外で飲んでたから会えた。
あの時、連れて帰って。
あの時、嘘ついて。
あの時、あの時・・・。
「今の行動は、未来に繋がるんだ。」
「・・・みらい。」
くしゃくしゃな顔で笑う歩さんは、きらきらしていた。
「そう。明日に繋がっていく。」
過去の自分は、今の自分へ。
今の自分は、明日の自分へと繋がっていく。
「忍の明日に、俺も一緒にいたい。忍の明後日も、俺も一緒に笑ってたいんだ。」
キュッとシャワーを止めた彼は、もう一度ぼくを抱きしめてくれた。
「嘘から始まる恋でも良いじゃないか。俺に惚れろよ。」
ああ、ああ。
なんて人。
なんて強引で、なんて眩しい人なんだろう。
落ち込む時間さえ与えてくれない。
落ち込む理由さえ、前向きに感じさせてくれる。
やっぱりこの人は、魔法使いに違いない。
「・・・惚れたら良い事あるの?」
「あるね!めちゃめちゃある!」
自信満々で、引っ張ってくれる。
「とりあえず笑いは絶えないぞ。」
ふふ、バカ。
「他は?」
「マンガ本、大人買いできる。」
バカ。
「あと、色んなところに連れて行ってやれる。」
バカ、バカ。
「あと、食器洗いが出来て、給料持って帰る。」
バカ。
「・・・他には無いの?」
「忍を一生大切にする。」
もう、バカなんだから!
泣いちゃうじゃん、バカ。
「バカっ、あほたれ!」
「泣きながら笑うなよ、変な顔になってる。」
「バカっ!」
裸の胸に縋って泣いた。
一緒にいるだけで、幸せを実感できる。
一緒にいるだけで、笑えた。
『そこに、魔法使いが現れました。魔法使いは太陽の光のように温かい心で、冷たく冷えた男の子の心を溶かしていきました。』
杉さん、本当だね。
魔法使いは、太陽のような人だ。
眩しくて眩しくて、でも目を逸らすことが出来ない。
「・・・抱いて。」
「抱く。けど、ここは今度だ。」
お尻を掴まれて言われて、ぼくは目を丸くした。
「まだ忍から『好きです』って言われてないからな。野獣モードは封印する。」
「や、野獣?!」
「いや、ツッコむところそこじゃねーだろ。」
耳元でクスクス笑われて、ゾクゾクした。
「だって、さっきまで抱く気満々だったでしょ?」
「そりゃ、処女と分かる前だ。」
どうしよう、歩さんが分からない。
「ぼく、女の子じゃないよ?」
「知ってる、俺と同じの付いてるからな。」
でも、と歩は続けた。
「忍は綺麗だ。凄く綺麗で、眩しいよ。」
「・・・バカ。」
このさっきから褒めちぎるバカを止めて欲しい。
泣いてるのに、笑ってしまう。
「好きだと言わせてから、本当の意味で抱くことにする。」
「言わないんだから。」
「すぐ言いたくなるさ。」
もう、バカ。
その予言は、当たっているに違いない。
だって、もう。
「・・・嘘つきじゃないって分からないと、言わないんだから。」
「ふふ、すぐに信用するさ。」
好き。
たぶん、大好き。
ぼくの心にズカズカ入ってきた、傲慢で、無茶苦茶な人。
好き。
好きだよ。
でも、言ってあげない。
悔しすぎるから、好きという言葉は、まだ封印しちゃうのだ。
「・・・自信過剰なんだから。」
「忍が無さすぎだから、ふたり合わせてちょうどいい。」
キスが優しい。
さっきまでの呼吸さえ奪うようなキスじゃなくて。
「ん、ぁ・・・っ。」
優しく口の中さえ愛おしまれて、幸せな気持ちが満ちていくのが分かった。
好き。
言ってあげないけど、好き。
「あ、そこ、ゃ・・・!」
首筋を噛まれて、思わず歩さんの背中に爪を立てた。
「ベッド行こう。朝まで愛したい。」
「・・・うん。」
いつまで我慢できるかな。
好きって言葉が口から溢れ落ちそう。
本当に明日も一緒にいてくれるの?
本当に明後日も一緒にいてくれる?
転々と落とされたふたりの服をたどって、ベッドへと戻っていく。
寂しい思い出しかないこの部屋が、どんな気持ちに塗り替えられるだろう。
そうして、どんどん歩さんと一緒に重ねた思い出が塗られていけば、ここも居心地良くなるだろうか。
「好きだよ、忍。」
ああ、魔法使いだ。
賞味期限切れの玉子を冷蔵庫に入れっぱなしにしてる、ズボラな人なのに。
道端で飲むような、ダメな大人の代表なのに。
「好きだ。好きだ。」
心があたたまっていく。
幸せに、胸が詰まった。
「・・・ば、か。」
好き。
好き。
だらしない大人だけど、好きになった。
びっくりするほど子どもみたいなことを考える人だけど、好きになってしまった。
「バカで結構。・・・豆を回収すんぞ。」
「え?」
乳首をすごい勢いで吸われて、慌てて肩を叩いた。
「何やってんの?!」
「豆まきの続き。俺が鬼だからね、忍は黙って生け贄にされときなさい。」
「はあ?!」
もう、そこからは笑いながら体を重ねた。
「もう、バカ!」
「ほら、乳輪デカクしてやる!」
「ヤダヤダ!ばかー!!」
もう、本当好き。
多分、歩さんの言うことは嘘じゃないと思う。
『とりあえず、笑いは絶えないぞ。』
うん、うん、そうだね。
多分、毎日笑わせられるんだと思う。
「は、ぁっん!」
手首を纏められて、身動きが取れない。
そんな状態で、乳首をめちゃくちゃ攻められた。
「ぁ、ぁ、ぁ、ん、・・・んっ!」
歩さんの家でしたセックスのときより、感じてしまう。
あの時より激しくて、遠慮がなかった。
「ん、ぐちゃぐちゃになってきた。」
ぺろりと自分の唇を舐める歩さんが眩しい。
「見える?乳首がぷっくりしてるの。」
真っ赤に腫れた乳首は、歩さんの唾液でテラテラと光っている。
「可愛くて、エロい。」
何も言えないぼくを、満足そうに褒める歩さんは、さながら餌を前にした猫だ。
ぼくは餌で、これから朝まで愛されるらしい。
「好きだよ。忍も好きになって。」
纏められたせいで動かせない腕を、歩さんは舐め上げた。
「好きって言ってごらん。」
ああ、もう。
言わせるつもりだ。
言わないんだから。
「ゃ、ンンーッ!!くすぐったい!」
いつまで耐えられるだろう。
好き。
好き。
言ってあげないけど、歩さんのことが好き。
脇の下の敏感な部分を攻められて、笑いながら身を捩らせた。
今日、何回笑っただろう。
こんな日がくるなんて、思ってもいなかった。
「ほれ言え。白状してしまえ。」
「アハハ!悪魔め!」
ぼくの好きな人は、悪魔で鬼で嘘つきの優しい魔法使いみたいです。
おばあちゃん、ぼく、もう大丈夫かもしれない。
ちゃんと笑えるよ。
歩さんと一緒なら、生きていけるかもしれない。
「悪魔上等!気持ち良さにひぃひぃ泣かせてやる。」
ぼくの悪魔は、笑顔でぼくに食らいついた。
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