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持っていたモップの柄で、大久保をグイグイ押した。
突っつかれるがままの大久保は、涙目だ。
大久保は自己嫌悪に陥っていた。
・・・いきなり抱きついたのはいけなかった。
だってわたしは、オッサンだし。
頭の奥では「お父さま」と「汚い!」がリフレインしており、ガクリと肩を落とした。
嫌われてしまった。
唯一の機会だったのに・・・!
顔を上げると、愛息子が青い顔で違うところを見ていた。
・・・え。
視線を辿ると、人の良さそうなご老人がおり、ゆっくりとこちらに近付いてきている。
「・・・ご関係は?」
思わずポロリと疑問が口から溢れた。
忍がわたしの顔を見た。
「可愛がってもらっている、不動産屋のおじさんです。」
そこまで言うと、忍は唇を歪めた。
「三世代!」
・・・歩はきちんと三世代と聞こえた。
つまり祖父母、母親、自分という意味だ。
可愛がるの含みももちろん気付かない。
対して大久保にはこう聞こえた。
「三世帯!」
三世帯?!
「おお、奥田さんは結婚を・・・?!」
所帯持ちだというのか?!
まさか子ども既にいるのか?!
大久保の脳裏には、可愛い孫が、ちょろちょろと動いている姿が見えたのだ。
いきなり結婚の話題に飛んだことに、忍は仰天した。
「けっ、結婚!!」
結婚を前提として付き合っているのかという意味だと捉えた忍は、あわあわと唇を震わせた。
・・・どうしよう!
歩さんからプロポーズされたけど、されたけど!!
思わず背後から抱き締めてきている歩の顔を見上げた。
「コイツは俺のだ。」
ギュッと腕に力を入れられて、忍の心はキュンとなった。
どうしよう、めちゃくちゃ好き。
でも、ぼくには厄病神が憑いている。
ぼくと一緒にいたら、幸せになれない・・・!
「ぼ、ぼくは、」
慌てた忍は、珍妙な返しをした。
「ぼくのモノです!」
はあ?
歩は腕の中の忍の脳天に顎ゴッチンを落とした。
「このチンチクリン!」
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