アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
118 after story 4
-
注文を受けて、調理を始める。
ホール担当は、その間に食事に使用するカトラリー一式を準備してお客様のもとへ運んでおく。
戻ってきたら、お皿を用意して、ほかのお客様のお水が切れていないかを確認しつつ、汚れた皿を下げにまわる。
この一連の動きは、慣れが肝心だ。
動いていけば、体に染み付いていく。
なにも考えずとも、同時進行で色々とこなせるようになるのだ。
調理も同じ。
茹でる炒める挟む切る。
同時に入ってくるメニューをこなすことができるのは、体が覚えているから出来ることだ。
「いや、すごいですね。」
風見さんから話しかけられて、ぼくは思わず手が止まった。
「え?」
「小夜の手も恐ろしいほどに良く動きますけど、忍さんの手は更に上をいきます。さすがプロですね。」
あけすけに褒められて、さすがに照れた。
「や、そんなことは・・・。」
いや、そんなことより。
「その、風見さんは杉さんと長いんですか?」
「おかげさまで。」
幸せそうな笑顔に、勇気をもらった。
「あの、サイショって、大丈夫でしたか?」
「最初?」
風見は首を傾げた。
「その、コレです。」
忍さんが親指を立てて見せてくれて納得した。
「ああ、最初は見よう見まねでしたけど、どうにか教えてもらいながらやりましたね。」
「見よう見まね?!」
風見は遠い記憶を呼び起こした。
最初は何を作ったかなぁ?
ああ、思い出した。
「お隣の奥さんに、教えてもらったんです。」
「お、おしっ・・・!」
小夜が寝込んで、お粥を作った。
「懐かしい・・・でも、その時は必死でしたよ。」
「う、上手くできました?」
ふふ、いっぱい作りすぎたっけ。
「褒めてもらいましたけど、大量すぎて後から困りましたね。」
「た、大量?!」
忍の頭はパニックだ。
セックスをお隣の奥さんに教えてもらって、何かが大量に出たと分かったからだ。
や、やだ!
どうしよう!!
「い、痛いですか?」
「痛い?ああ、怪我はしませんでしたよ。」
風見的にはきちんと回答している。
だって炊飯器でお粥を作ったのが、最初の調理なのだから。
対して忍の頭の中は、どういう状況なのかやっと整理がついた。
風見さんが受け身なんだ!!
「その、受け入れてみて、どうでした?」
受け入れる?
ああ、家事のことか。
風見は質問に納得した。
「いや、平気ですよ。分担は、大切です。」
「分担?!」
家事の分担は絶対に必要だ。
お互い働いているし、それに無理しないことが重要だ。
「ええ、無理のない程度に、お互い分担してやっていますよ。」
「ヤッ・・・!!!」
風見は心配になった。
「忍さんおひとりで全てされているんですか?」
力強く首を縦に振り下ろした忍を見て、風見は安心させるように笑顔を見せた。
「ふたりで仲良く分担してください。長続きのコツです。」
「あ、ありがとうございます!!」
風見は家事分担のことを話している。
忍は夜の生活のことを話している。
それなりに噛み合って、お互い良い話が出来たと納得した。
そんなわけで、歩にとっての災難は着実に近づいていった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
118 / 201