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129 after story 15
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機会をうかがっていると、神様が味方をしてくれた。
「あれ、・・・ライムの風見さんじゃないですか?」
歩さんと座っていたおじさんが立ち上がって、カウンターへやってきたのだ。
「え?!奥田部長!」
風見さんが慌てて席を立って振り返った。
そうして、おじさんに頭を下げたのだ。
知り合いだったのに驚いたのか、歩さんはおじさんの後ろに静かに控えている。
「奥田部長、ご無沙汰しております。」
「こちらこそ。やあ、久しぶりだ。」
・・・!
風見さんとおじさんは、知り合いだったのだ。
そのときのぼくは、急に出来た杉さんとふたりで話が出来る機会に、浮き立つような気持ちになった。
それと同時に、このチャンスを逃すまいと心臓が緊張でバクバクと高鳴った。
おじさんと話している背の高い風見さんの背中を警戒しながら、カウンター上に置かれた杉さんの両手をぼくはギュッと掴んだ。
「え?!」
「杉さん!お話を聞かせてください!!」
自分でも、必死だったと思う。
もしかしたら、目が血走っていたかもしれない。
「え、え、なんの?」
「ぜ、全部です!昨日風見さんから伺ったんですけど、その、」
えっと、えっと
「アレを交代でされているんですよね?!」
・・・流石にセックスとは言えなかった。
「え、アレ?」
「はい!アレです。」
小夜は突然の「アレ」質問に驚いた。
・・・アレ?アレってなんだろ?
「その、アレって・・・?」
「かわりばんこなんですよね?朝とか夜とか。てか一日二回って出来るものなんですか?」
小夜は目を丸くした。
え?
え、え?
一日二回?
「・・・えっと、主に風見がしてくれます。おれがやると心配かけるみたいで。」
忍は頭に大きなハテナマークが浮かんだ。
・・・話が違うぞ?
「心配って・・・?」
「メリハリが良すぎて、びっくりしちゃうらしいです。」
「メリハリ?!」
セックスでメリハリが良いって、何?!
「普段は朝からなんですけど、土曜とかは夕方もしてくれて・・・本当、有難いんです。」
うっとりと風見さんの背中を見上げた杉さんの様子に、忍は呆然となった。
「よ、夜じゃなくて、夕方ですか?」
「ええ、早く終わることがあるので。」
ンンーッ!!
あ、アレだ。
お口だけでってやつ?!
「え、えっと・・・その口だけってことですか?」
小夜はキョトンとした。
「口だけ?・・・いえ、ちゃんとしてくれますけど。」
送り迎え。
忍は大パニックだ。
朝も夕方も、で、夕方は早くイかせることで一日二回を実現しているってことだーーー!!!
そして、主に風見さんが下、杉さんが上!!
忍も風見の背中を見つめた。
・・・こんなデカイ人を組み敷くなんて!
やっぱり杉さん、スゴイ・・・ッ!!
「す、杉さんって、積極的なんですね!」
「積極的・・・?」
小夜は反対側に首を傾げた。
「どっちかというと、消極的なのでは?」
忍は言葉を飲み込んだ。
一日二回で消極的ーーーッ?!
大人ってスゴイ。
本当、スゴイんだ・・・。
コポコポとお湯がロートを上がってきたので、忍は慌ててサイフォンの前に移動した。
ここからは時間との勝負だから、気が抜けないのだ。
竹ベラで慎重にロートの中味を攪拌していく。
フラスコから上ってきたお湯にコーヒーの粉が踊って、やがて泡、粉、液体部分と分かれていく。
濃いコーヒーの香りがお店いっぱいに充満して、幸せな気持ちになる。
手間はかかるし、竹ベラで攪拌するときにロートの底のフィルターに当たると濁ったコーヒーになるから気を張るけれど、やっぱりおじいちゃんのサイフォンで淹れるコーヒーは好きだった。
手間のかかる淹れ方。
だけど、お客さんはみんな楽しそうに見てくれる。
時間も頂くし、機械みたいに毎回同じ味にすることは難しいけれど。
「・・・素敵ですね。」
「ありがとうございます。」
笑顔でお礼を言いながら、手を動かしていく。
コーヒーが落ちていくのを確認しつつ、話を整理した。
杉さんがヤると、メリハリが良すぎて心配を掛けるようなセックスをしちゃう。
朝と夕方の二回、主に風見さんがシてくれる。
そして、それはクチだけじゃなくて、キチンと最後まで・・・。
「・・・あの、さっきの話なんですけど。」
「え?はい。」
冷蔵庫から取り出したケーキをお皿に置く。
温めておいたカップをふたつ取り出して抽出の終わったコーヒーを注ぐ準備をした。
「痛がったりしませんか?」
「痛がる?」
風見さんとおじさんの話が盛り上がっているのを確認して、声をひそめて聞いた。
「お、お尻とか。」
小夜は思わず天井を見上げた。
・・・車の運転で、お尻が痛む?
ああ、タクシーとかバスの運転手さんとかなりやすいって聞くよね。
「そんなずっとじゃないですし、大丈夫ですよ。忍さんもそうでしょ?」
「ぼく?!」
ガチャンとソーサーにカップがぶつかって、派手な音を出してしまった。
「ぼくはシたことないので、分かんないんです!」
「ああ、そうですよね。取りにいかないといけませんしね。」
取る?!
ナニを?!
カタカタと震える手で、ケーキをお出しした。
「と、取らないといけないんですか?!」
「え・・・捕まりますよ。」
捕まる?!
用意していた角砂糖を二人分お出しすると、慎重にサイフォンからコーヒーをカップに注いだ。
取らなきゃ捕まるって、どうしよう?!
「ど、どこで取るんですか?」
「え・・・学校です。教習所で取ってくださいね。」
ええーーーーーーー!!!!
病院とかじゃなくて、専門の学校があるの?!
思わずカップからソーサーに溢した。
慌てて布巾で拭いて、新しいソーサーを取り出す。
「ど、どこにあるんでしょうか。」
「えっと、おれは詳しくないので、風見に確認しますね。」
・・・やはり風見さんは取っているらしい。
ぼくにその覚悟はまだ無い。
無いけど・・・。
チラリと歩さんを見ると、おじさんの後ろで優しい目をして笑ってくれた。
・・・愛があれば、ぼくも取れるのかな。
「と、取れるでしょうか。」
不安に苛まれながら杉さんに尋ねると、彼はにっこりと笑って言った。
「大丈夫です!おれでも取れましたから。」
ええーー?!
ふたりとも取ってるの?
「頑張ってくださいね!」
ぼくは思わず、新しく出したソーサーにもコーヒーを溢してしまった。
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