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171 after story 57
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急展開に心臓が口から飛び出すかと思った歩は、走馬灯のように忍との思い出が脳裏を駆け巡った。
ど、どういうこと?!
据え膳食わぬは男の恥。
確か数日前に思ったフレーズが、ぽわんぽわんと右の肩口から入って、左耳に抜けていく。
と、同時に、これは罠か?と、およそ恋人らしからぬフレーズも左肩口から右耳に抜けていった。
いやいや、付き合ってるんだから健全だよね?
これは頭の頂点から足元へ抜けていく。
つまり歩は、混乱の極地にあった。
「えっと・・・ダメ?」
思わず首を横に振ったが、縦に振り下ろすべきだったろうか?
いやいや、ダメなわけないし、むしろ歓迎なわけだけど。
結果、首を横に振ったあと、小刻みに黒目が泳いだ。
可能なら、ここで忍の肩を掴んで確認したい。
なぜ、どこからそうなった?!と。
確実に言えることは、普通にバッティングセンターで遊んだだけだ。
欲情するシーンは一欠片(ひとかけら)もない。
なのに、セックスしたいと突然言う忍の思考回路が分からない。
残念なことに、歩は酸いも甘いも噛み分けた大人だった。
大人だったから、忍のセックスしたいという勇気の一言の重さも分かる。
分かる、け、ど、も!
ここは、勢いのまま走ってしまって良いものだろうか。
忍の思考回路が分からないが故に、また思い込み突っ走りがスイッチされたのかもしれないなんて、色々と考えてしまう。
ついでに、明日は仕事だ。
自分ひとりでは、まだ店は開店できないことを充分わかっている。
何とかなる、で店を開けてしまっては、お客さんに迷惑しかかけない。
だってサイフォンで淹れるコーヒーが売りの店で、ジュースしか出せないなんてアウトだろ!
そこで、はたと気がついた。
・・・俺がネコ?!
脳内がニャーニャーニャーニャーと猫の鳴き声でいっぱいになった。
「・・・おいおいマジかよ。」
早鐘を打ち出した心臓を押さえるように、胸に手を当てた。
待て、落ち着け。
俺たちに足りてないのは、なんだ?!
答えは、言葉だ。
徹底的に、言葉が足りない。
足りないから、忍も突っ走る。
そして俺も不安になる。
つまり、
「忍、ちょっと確認したいことがある。」
俺が、きちんとリードして忍の真意をくみとる必要があるのだ。
「うん、ぼくも。」
「ぅ、ん?」
不思議ちゃんの返しに息が詰まった。
「モダン焼きのモダンって、現代風ってことかな?」
俺は言葉を失った。
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