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180 after story 66
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頭が全く受け付けない。
鼓膜に突入してきたはずの言葉は、ただの音のように鼓膜を震わせただけで、さっぱり言語として脳に変換されなかった。
ぽかんと口を開けて一言だけ返した。
「・・・え?」
「いやだからですね俺の中の悪い大人がいたいけな少年をいたぶってどうすんだと慰める方法も別にあったんじゃねーかと思ったりしてですねでもあの時は忍を慰めたかったし目を離したくなかったし抱きしめたかったしとにかく可愛いやら愛おしいやらで興奮ヤバくてその反面俺のバカ的な猪突猛進的な即物的な方法でいやこれはおっさんが美少年を悪いことに誘って覚えさせた的な感じになっ・・・ゲホゲホゲホゲホッ!!・・・なってしまったのではないかと反省しきりだった次第で、ひぅ!でも愛おしい気持ちは本物でなんていうかジレンマに襲われておっさん的になんて事やっちまったんだっていう最低なわけで、うびっ・・・!」
弾丸のように話す歩さんの目が真っ赤に充血して、だんだんと大きくなっていく声に笑い出したくなって。
ぼくは思わず伸び上がって彼の下唇を噛んだ。
うびっと変な悲鳴をあげた歩さんは、その姿勢のまま硬直している。
・・・ああ、バカみたい。
ぼく、何に悩んでたんだろう。
舌先で歩さんの下顎を舐めると顔を離した。
「・・・分かってくれた?」
おずおずと聞かれた言葉に、
「うん、めちゃくちゃバカなのが分かった。」
久しぶりに意地悪な事を言うと、歩さんが目を白黒させてから困ったように笑った。
「・・・すまん。」
首を振りながら手を伸ばして、歩さんの肩に掴まった。
しっかりした肩や胸に体を預けると、それだけで安心した。
「違う。ぼくがバカだなあって。」
確かにあの時は最低の意味を聞けなかった。
でも、付き合うようになった今ならいつだって聞けたんだ。
「もっと早くに、最低の意味を聞けば良かったって。」
歩さんの手が腰に回ったと思ったら、体ごと反転してぼくが歩さんを見下ろす形になった。
肩に置いていた手をはずして、歩さんの顔の脇に置くとコツンと額同士をぶつけ合った。
「俺こそ、何か悩んでいるのは分かってたんだ。もっと早くに話せる雰囲気を作らないといけなかったんだと思う。」
話す、かぁ・・・。
今まで悩みは抱えても、誰かに話した事なんてなかった。
話したところで解決しないし、友だちもいない自分が話せる相手なんているわけがない。
悩みを打ち明けるためには、その人を信頼していないと出来ない事で。
だから。
「ぼくの方こそ、ごめんなさい。」
互いの顔は、近すぎると見えなくなる。
少し離れると、鼻筋の通った美形のおっさんの顔がしっかりと見えた。
「謝るのは俺の方だよ。忍を傷つけたことを知らないで、平然と過ごしてた。・・・ごめんな。」
「・・・うん。」
目を開けたまま顔を寄せると、歩さんの唇が薄く開いた。
中に濡れて蠢く真っ赤な舌を見て、あの時の事を思い出した。
左手を上げて人差し指を唇に近づけると、歩さんはぼくの指を咥えた。
熱く濡れた口内は、気持ちいい。
咥えられた指先から快感を拾って腰の奥へと電気が走っていく。
ザラザラとした上顎と包み込む舌、圧迫される指の付け根、そしてぬちゅりと音を立てるその奥・・・。
不意に体の奥を探られているような気がして、キュッとお尻が震えた。
「・・・セックス、したい。」
そう言うと、歩さんの目元が赤くなった。
ぴちゃりと音を立てた口元から熱くなった指を引き抜くと、そっと唇を押し当てた。
歩さんの熱い吐息を口の中に感じた瞬間、ぼくの体はくるりとベッドに押し付けられていた。
「大切にする。」
「うん・・・、抱いて。」
不安な気持ちはなくなった。
呆れられて最低だと言われてしまうのではないか、汚いと嫌われるんじゃないかという気持ちは、すぅっとどこかへ消えていった。
今なら、歩さんを受け入れられる。
そう思った。
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