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18歳以上ですか?
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おかしい、これは絶対におかしいぞ
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熊澤side
「せーんせ♡」
「む、なんだ?」
「大好きです!」
そういってニカッと笑う目の前の男子生徒を見て、言われたことの無い言葉に困惑する。
大好きなんぞ、14年間教師をしてきて言われたことがない。多くの生徒が俺を怖がっていることは知っているし、別にそれでも良いと思っている。
……が、この犬養とかいう生徒は、俺がどれだけ無愛想な態度をとってもそれが気にならないのか、やたらと話しかけてきては好きだ大好きだと言う。
「そうか、お前は物好きな奴だな」
俺は言って犬養に背を向ける。
すると、後ろからギュッと手を回される。がっちり2本の腕でホールドされる。
「離せ。今から採点をしなきゃならんのだ」
「相変わらずの塩対応…。でもそんなとこも好きですよ!いやもう愛してます」
耳元で囁かれる。女を口説く練習でもしているのか。しかし、案外ドキドキするものだ。
「こんなことは好きな奴にでもしてやれ」
「いや、ですから、俺の好きな人は先生ですけど!こんなに必死にアピールしてるのに、先生は気付いてくれないんですね」
少し怒ったような口調で犬養はそう言い、俺の口髭を指でなぞり、チュ、と頬に軽く口付けをする。
「んっ、!なっ、何してる!やめろ」
犬養の腕を掴んで引き離し、距離を取ろうと後ずさると、犬養は蕩けたような笑みで言った。
「かぁわいい。せんせ、大好きです」
なんでこんなことになったんだ。
おかしい、これは絶対におかしいぞ!
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