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いつもの日
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犬養side
6月に入り、だんだん蒸し暑く、蝉もうるさくなってきた。
俺ら3年生は大学受験のために、もうそろそろ部活を引退する。引退する時期はクラブによって違う。軽音楽部とかは引退が早い。2年の2月ぐらいにはすでに引退している。反対に硬式野球部は遅くて、8月の中頃に引退するらしい。
俺がいるバスケ部は6月の終わりに引退する。もうすぐ引退試合だ。気を引き締めていかないとな。
「犬養!おはよ!」
3年2組の教室を開けると、大木が俺に笑いかけた。
「おっす、大木!」
ニカッと笑って右手をあげる。
「よぉワンワン。ちょっくら課題写させてくんね?」
俺の事をワンワンと呼ぶのは佐藤。良い奴だがいい加減な奴でもあり、頻繁に課題を忘れては俺のを写に来る。
「ほぅ、俺の事をワンワン呼びしといて写させて貰えると思うなよ?」
「神様仏様犬養 皆已様!どうかこの愚かなる私めのために課題を写させてくださいませ南無阿弥陀仏」
悪戯っぽく言うと佐藤は両手を擦り合わせて拝んでくる。
「ぶっ…!ははははは!冗談冗談。見せてやるからジュース奢れよ」
「あははははは!せんきゅーワンワン。ジュースも飯も今度奢るぜ」
ウインクして去っていく佐藤。
「ねー、皆已くーん!髪切ったんだけど似合ってるかな?」
後ろから声がして振り返ると、村井 あかりが自分の髪の毛をクルクルと指で巻きながら顔を赤らめて聞いてきた。
「うん!めっちゃ可愛い。髪色もちょっと明るくした?」
「ちょっと軽めな茶色にしてみたの!気付いてくれたんだ、嬉しい!」
はにかんだように笑う村井は可愛らしい顔立ちをしている。パッチリ二重の大きな目に小さくてふっくらした唇。鼻はツンと尖っている。色白で小柄。学年で一二を争うほどの美少女だ。
「おーい!犬養!ちょっとこっち来てくれよー」
教室の端から複数人に呼ばれる。
「おぅ、今行く」
人との会話は楽しいし、自分で言うのもなんだけど俺は人望がある方だと思う。
どんな人とも仲良くなれるのが俺の長所だ。だからやっぱり熊澤先生は少し苦手だ。接し方が分からない。それでも、なんとしても仲良くなりたいと思う。
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