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古文の授業
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犬養side
キーンコーンカーンコーン。
チャイムが鳴って4限目開始を告げる。そう。水曜日の4限目。古文の時間である。
熊澤先生がガラガラとドアを開けて教室に入ってくる。ガタイが良くて、スーツは筋肉を強調するように張っている。仏頂面で威圧感がある。
教室の空気が一気に張り詰めた。
「…起立」
低く呟くように言うと、一斉に生徒が立ち上がる。礼をして席に着く。
授業が始まった。
熊澤先生の授業はとても分かりやすい。見た目とは裏腹に論理的に説明をしてくれる。てっきり感情的に授業をするのかと思っていたから、初めて授業を受けた時はびっくりして少し笑ってしまった。
「なぁ、犬養」
隣の席の松尾がヒソヒソ声で喋りかけてきた。
「どうした?」
「聞いて驚け。4組の西川さん、お前のこと好きらしいぞ」
「えっ!まじ?」
「まじまじ。彼女出来んじゃね?」
「あ〜、でもなぁ、西川さんってどんな顔かあんま覚えてないんだよな」
「めっちゃ可愛いべ?黒髪ロングの──」
「おい!犬養、松尾。何を話している」
太い声が前から聞こえてハッとして顔を上げると、熊澤先生がこちらをギロリと睨んでいる。
「あちゃー」
と小声で松尾が言うのが聞こえた。
「すみません!」
こういう時は勢いで謝るに限る。大声で言うと、周りのクラスメイトがどっと笑った。
が、熊澤先生の一瞥でしんと静まった。
「……二人とも、後で職員室に来い」
「あちゃー」
今度は自分の口から漏れ出た。
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