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犬養という生徒
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熊澤side
職員室にやってきた犬養と松尾はろくすっぽ反省もしていない様子だった。
「お前ら、反省してるのか?」
2人を交互に見つめると、松尾は居心地が悪そうにモゾモゾした。一方犬養は、
「先生。俺達は本当に反省してます!もうしないんで。マジで、すみませんでした!」
言葉と雰囲気があっていない。何だこの違和感は。
大体の生徒は良くも悪くも素直だ。思ったことはすぐ顔に出るし、無表情な奴でも声色に感情が乗る。
だが犬養、こいつは何を考えているのか全くわからん。
だからどうしても、俺は犬養が苦手だ。警戒心を持たずに居られない。先生が生徒に警戒心など、馬鹿らしいかもしれないが、犬養に関しては話は別だ。人当たりもよく、先生からの人気も高いが、どうしてか俺は犬養の真意が分からず苦手だ。
「うむ…反省しているのなら、構わん。お前らももう3年生なんだから、くどくど言わずとも分かるだろう」
授業中の会話は、まぁ叱ってもあまり効果がない。言いながら目で帰れと促すと、
「松尾。先に帰っといてくんね?」
犬養が言った。
む、犬養は俺に何か用でもあるのか?
「おう!じゃあな」
松尾はここから離れられるのが嬉しくて仕方が無いように廊下を走っていった。
「先生!」
そう言ってニカッと屈託なく笑う犬養が何を考えているのかさっぱり分からず、若干の恐怖を感じてしまったことは秘密にしておきたい。
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