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苦手じゃなくて
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犬養side
68対52で淀三矢高校は勝利した。
全員で抱き合ってもみくちゃになっている途中、ちらりと観覧席を見たけれど、熊澤先生はもう居なかった。
熊澤先生に言われた通り、思いっ切り頑張った。
なかなかカッコイイとこ見せれたんじゃないかと思う。
「なぁ、聞いてくれよ佐藤」
隣で大歓声を上げている佐藤に小声で話しかける。
「ん?どうした」
「俺、怪我しただろ?その後医務室に運ばれたんだけど、聞いて驚け、熊澤先生が俺の心配して駆けつけてくれたんだぜ」
「はっ!?マジで!?
……こりゃ明日は大雨だな」
佐藤は目を見開いて言った。
「意外すぎるだろ?」
「うん。ってかお前、熊澤先生のこと苦手って言ってたしな」
「そーなんだよなぁ…」
いや、正しくは、"そうだったはず"なんだ。
無愛想で素っ気ないけど、ちゃんと俺の事を心配してくれる。
なんていうか、俺はあの人を誤解していたのかもしれない。厳しくて、冷徹で、生徒嫌いの変わった人だと思ってたけど、ただ不器用なだけなんだと思う。
気付けば熊澤先生に対しての苦手意識みたいなものは一切なくなっていた。
「まぁでも、普通にいい先生なんだろうな」
佐藤が思い出したように言う。
「俺らが入学する前の体育祭で、なんかでっかい事故があったらしくて、それで熊澤先生が生徒を庇った…みたいなこと聞いたことあるし」
「なにそれ初耳なんだけど」
「俺も先輩から聞いた話で詳しくは知らねー
……おっ、呼ばれてんぞ」
そう言って佐藤は体育館の入口を指さした。
そこには黒髪ロングの清純系の女の子がいて、こちらに手招きしている。
「ちょっくら行ってくる」
言い残して俺はその子の方へ向かった。
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