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凍える夜を焼く1
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二人の王と己の師匠とのお茶会を終えた日の深夜。しんと静まり帰った部屋の中で、少年は荒く苦しそうな呼吸を繰り返していた。
寝返りを打つほどの気力もなく、ぐったりとベッドに横たわったまま、視線だけを窓の方へと向ける。カーテンの隙間から射し込むか細い月明かりから察するに、どうやら朝はまだ遠いようだ。
(……熱、とか……久しぶり、だなぁ……)
実は少年は、あまり病気になったことがない。心の方は著しく脆弱だが、身体は割と丈夫な方なのだ。そうでなければ、幼い頃の暴力に満ちた環境を生き抜くことはできなかっただろう、と少年は考えている。
しかしどういうわけか、今の少年は熱に魘されている真っ最中だった。それもかなりの高熱だ。恐らくは、疲労からくる風邪だろう。
兆候自体は、お茶会が終わった直後あたりからあった。夕食に呼ばれる前にはもう、なんだか身体が熱くて、けれどその割には悪寒がする、といった典型的な風邪の症状が出始めていたのだ。だが、少年は少し疲れただけだろうと気にしないでいた。結果的には、それが間違いだったのだろう。
食事を取って風呂に入って休めば疲れも取れるはずだと考えていた少年は、風呂から出たあたりで楽観視しすぎだったと思い知らされた。深く考えずに湯に浸かったことで、ただでさえ疲労で削られていた少年の体力はほとんど底を突き、脱衣所で寝間着に着替えている最中に何度も倒れそうになったのだ。
だが、彼はそこで倒れるわけにはいかなかった。体調を崩していることがばれたら、この王宮の人々に迷惑をかけることになってしまうからである。それだけは避けなければならない。他人のためではなく、罪悪感で潰れそうになる自分のためにだ。
そう思い、気力を振り絞ってなんとか部屋に戻った少年は、布団に潜りこんだところで完全に力尽きた。もはや指一本動かす気にもなれないので、これは想定以上に悪い状況なのかもしれないと彼は思った。
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