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ひなたぼっこ5
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そのままぼんやり日に当たっていると、急にトカゲがころんと転がって腹を見せた。どうやら大体一定の周期でころころと仰向けとうつぶせを繰り返しているようだ。
(……暑いのかなぁ……でも炎獄蜥蜴《バルグジート》に暑いって感覚あるのかな……)
それとも全身余すところなく日を浴びたいというだけだろうか。そういえば、朝方も窓辺でころころしていた覚えがある。単に転がるのが好きなだけ、と言う可能性もあるか。
少年の気の抜け切った頭がふわふわと思考を続けていく。穏やかさと暖かさにつられて、どこかまどろみの中にいるような気分だった。
そんな気持ちでなんとなく、少年は仰向けになるために転がろうとしたトカゲの身体の下に手を差し入れてみた。
カーペットに転がるはずだった背中が少年の手のひらに受け止められて、不思議そうな丸い目がぱちぱちと少年を見た。見つめ合いながら、少年はそっとトカゲの体勢をうつ伏せに戻す。こてん、と首を傾げ、今度は逆側に転がろうとしたトカゲを同じように受け止めて、またも仰向けになることを阻止すると、トカゲは左右にこてりこてりと首を傾げた。
そしてまたも転がろうとしたトカゲを手で受け止めた少年だったが、今度はトカゲがそのまま少年の手の上に完全に身を乗り上げてきた。そして、手のひらを下敷きに仰向けになると、じっと少年を見つめてきた。そんなトカゲの腹を、逆の手で優しく擽ってみる。
うねんうねん。うっとりした顔で身をくねらせるトカゲに、少年は思わず吹き出してしまった。
「ふ、ふふ……ティアくんは、本当に可愛いね」
少年は今までペットを飼いたいと思ったことがない。動物好き、という訳ではないということもあるが、ペットに責任を持てないというのが大きな理由である。
ペットなど、自分の生だけで手一杯の人間が手を出す領分ではない。何もかも、命すらもこちらに預けている存在なんて、少年には荷が重過ぎる。
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