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のぼせた首に舌を走らせ、感じるのは確かな脈動。
初めての時は自身の手を噛んでまで声を押さえていた来碧さんだったが、今日は素直に吐息を漏らす。発情期の身体ではない、来碧さんのままで。
肩口を強く握られるせいでシャツの襟もとが絞まり、自身の脈も普段よりずっと速く動いていることに気が付いた。
弾け飛びそうな勢いでボタンを外し、その手で来碧さんの袖を抜く。
初雪のように白く繊細な肌が、俺以外の愛撫を知らないのだと思えば胸は異様なまでに高揚するのだ。
抵抗することなく身を任せてくれた彼に、一つ、二つと増えていく紅い花。
来碧さんのように初めてとまでは行かない俺だが、それでも慣れているとは言えなくて。
同じ所に何度も唇を寄せてようやく花開くそれも
小さな虫に刺されたようなヤワな色付きだ。
「…み、見える所は、あんまり……。」
「見せたくないから大丈夫。」
あんまり、上手くもないしな。
だが上達した暁には、一つくらい許して欲しい。
全身に触れたのではと思うくらい
来碧さんのそこかしこにキスを落とした。
時折身を捩りながら声をこぼす彼は
恥じらいを捨てきれずに目を細めて。
「綺麗。来碧さん…。」
灯される明かりの下で、見た目にもわかる胸の微振動は
俺にまで影響を及ぼし、高まっていく。
暗がりの中、月光を頼りに肌を探るそれもなかなかのものだったが今日は違う。
一片も隠れる事なく晒し出された彼の身体は思っていた以上に細く、独りで耐え忍んできた数多の苦痛を抱え込むにはあまりにも頼りなく思えた。
綺麗だ。
明日、目が覚めたら消えてしまいそうに儚く
いくつもの刻印で繋ぎ止めていなければ何処か遠くへ行ってしまいそうに切ない。
線を辿るように下へと手を移動させ
かつての心の痛みを孕んだ内腿に触れた。
これまで口で問う事は勿論、あえて触れる事も避けてきた部位。
来碧さんの呼吸のリズムが少し、変わる。
「それ…気持ち悪いだろ、触らなくていい…から…っ。」
「気持ち悪くなんかない。
…だってこれ、来碧さんがいっぱいいっぱい頑張って来た証でしょ。」
「…っ、」
簡単に肯定する事は難しいけれど
だからと言って拒むなんて事は無いし、否定もしない。
どんなに高い壁も、一生添い遂げなければならない、性別という大きなハンデがある中で
諦めない精神と折れる事を許さない強い心で超えて来た。
そんなあなたが、明日も生きる覚悟を持つためにその手で引いた痕たちを
俺が認めてあげないで、どうするの。
他人が恐ろしくてたまらなかった。
立場も境遇も違うのに
彼の過去を知った時には何故か同情心ではなく、親近感が湧いた。
決定的に違うのは、俺が逃げていた時も
来碧さんは戦っていたという事。
今まで、すごく沢山頑張って来たんだよね。
頑張りすぎってくらい、きっと俺が思うよりもずっと。
だから、これからは
その痛みを俺にも分けて。
自分ひとりだけじゃなく
俺も居るんだって、安心させられる一番の居場所でありたいから。
俺にも来碧さんを守らせて。
ありったけの想いを全部詰め込んで
痛ましい腿に何度も何度も口付けた。
そして、そのまま中心へと角度をかえて──。
直接触れたわけでも無いのに
既に大きく反り上がった性器の先からは、透明な蜜がじわっと滲み出ている。
男のそこに口をつけるのは初めてだが
不思議と嫌悪感は無い。
同じく濡れ始めていた後の蕾に人差し指を引っ掛けながら
竿の裏側を付け根からじっくり舐め上げた。
「ひっ、ぁ……どこ、舐めてン…ッ。」
「した事無くても、気持ちいいだろうなって…わかるのは、俺達の便利なところだよね。」
「おま、ぇ…なぁ……っ、も、さいあく…っゔぁ…ッ。」
αとΩだからだと、同僚に言われた言葉が過ぎる。
確かにそれも否定は出来ないのだろう。
だが、俺達はそうじゃない。少なくとも、俺は。
相手が来碧さんだから。
自分がαだとか、来碧さんがΩだとかは関係ない。
愛おしい人の、こんなにも可愛らしい姿を見せられて興奮しない方がおかしいだろ。
口内に広がる苦味、酸味、青臭さを混ぜ合わせたような何とも形容し難い味わい。
美味しくもないのに、もっとその味を感じていたいと思うのはどうしてだろう。
喉の奥に先端を押し付け、息苦しさに喜びさえも感じつつ
更に濡れていく後ろに指を押し込んだ。
内壁は突然の訪問者に驚き、隙も与えず絡みつく。
吐息の間に聞こえる微かな嬌声と連動し、きゅうっと締まるソコは言うまでもなく窮屈で。
こんな所に本当に俺のが挿入っていたのかと疑問に思う。
「…もう少し、力抜ける?」
「む、りぃ……一緒、ほんとに…っあ、たま…言う事聞かなぁ……。」
行為に対しての恐怖心から来ているのかもしれないと来碧さんの顔色を伺うが
考えるだけの余裕も持てていないようで、腰が跳ね上がる度、身に起こる反射的な行動に戸惑っているようだった。
唾液と来碧さんから出たもので随分滑らかになった性器に片手を添え、先端に重点を置いた口と、竿を上下に扱く手で絶頂へと導く。
もう片方は指の腹で内壁を擦り上げるよう左右に動かし反応を楽しんだ。
途中、ふっくらとしたしこりに当たった途端しなやかな脚がガクガクと震え始めて。
「ここ?…って、脚閉じないでよ。」
「もう…やっだァ……!やめ、そこ…い、ゃ……。」
枕だったり、シーツだったりを手当たり次第に握りしめていた彼の手が俺の髪を掴んだ。
正直痛いので辞めて欲しかったが、それが快楽を我慢しきれないが故のものだと確信している以上、嬉しさの方が余程か勝っている。
筋を通って伝う蜜が俺の手にまで滴り、本気で毟り取らんとする来碧さんの力強さに限界が近い事を悟った俺は
また少し、意地悪な質問をぶつけた。
「嫌なの?…俺に触られるの、いやだ?」
「ふ、ぁ……ンっ、ちが…違くて…っ。」
「じゃあ、何がいや?」
ビクビクと痙攣を繰り返す身体を知っていながら
それまでの刺激全てを辞めて問う。
文字通り寸止めの状態で、冷静な返答など求めてはいない。
平常時の来碧さんなら、ここで上手く言い逃れも出来てしまうのだろうが、今はそうじゃないから。
素直な、来碧さんの本心を
教えて欲しい、ただそれだけだ。
「き……気持ち…良すぎ、て…っ
もう、辛いし…恥ずかし、ぃん……だよ…。」
「そっか。……なら、よかった。」
「なっ、何もよくな──ッッ!」
触れられる行為ではなく
恥ずかしいから、嫌だ…と。
それならば、気を使う必要はない。
ナカを掻き回す指を二本に増やし、
激しく脈打つ先端に捩じ込むよう、舌で抉った。
シーツと肌の擦れる音
逃げる脚を制する片手
それらの淵で鳴り止まない喘ぎ声の果て、言葉にもなり切れないそれで紡ぎ出されたのは────
「っ、く…イぐ、からぁ……っァあ゛、なせ…くち、離してよぉ…ッ!」
構わず絶頂へと誘い込む動きは止まらない。
前立腺に触れた指がゴリっと内側を擦り上げたその時、
口の中いっぱいに白濁が解き放たれた。
今まで味わった事の無い不思議な感覚。
どろりとした舌触りで、独特の臭いが鼻に抜ける。
ドクドクと脈をうつ塊から勢いよく飛び出したそれを
口内全体に行き渡らせた後、あからさまな音を立てて喉に通した。
人肌の温かさが喉から腹にかけての道筋を示し、消えていく。
浅い息を吐き続ける頭上の人物は、焦る様に俺の頭部から手を退けた。
「な、は…?今お前まさか飲んで……っ。
早く吐けって!ぺってしろ、ぺっ!」
「…っはは。もう無理だよ。全部こっちまで下りて行った。」
身体を起こし、来碧さんの体液を纏ったてらてらと艶めく指でへその辺りを指すと
一段と険しい面持ちになり、彼の半身も持ち上がる。
「馬鹿か!!絶対不味いだろうが!味覚腐ってるのかよ!」
「もー…なんでそうなるの。
来碧さんが俺で気持ち良くなってくれた証拠って思うと、幸せでたまんないんだから仕方ないじゃん。」
「綾木さ…ん、お前なぁ……ほんと、そういう所だぞ…。」
暫く口をつぐみ、俯く彼は
つむじまでもを薄紅色に染めていた。
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