アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
* Style1 *
-
ふわぁ、と眠気からくる欠伸をしながら、汐はぼんやりと今朝のニュースを眺める。
家族が一通り報道番組をチェックした後は、最新の流行や企画物のコーナーやらを流し見る。
テレビのチャンネルの選択権は、いつも汐だった。
つい最近公開したらしい映画の舞台挨拶が映り、日本人離れした体躯の持ち主は、こぞってフラッシュを炊くカメラに白い歯を見せて笑っていた。
ルックスもさることながら演技も実力派──名前と年齢のテロップが流れ、汐は「ああ」と小さく漏らす。
──あいつ、小さいときは三軍か四軍くらいだったのにな。
子役時代に話しかけられたのを、今思い出した。
主役は毎度、汐がもらっていき、本庄[ホンジョウ]は台詞が一つくらいの、特にいてもいなくても困らないような役。
それでも、選ばれたらまるで大役を任されたように、全力で喜んでいた。
今、テレビの中にいる本庄は、原作人気の高い、高校生同士の恋愛映画の主人公だ。
子供のときと変わらない、無邪気な様子で溌溂とインタビュアーの質問に答えている。
名の知れた可愛いヒロイン役の女優もいるし、少年コミックのバトル作品やファンタジー作品の実写化ように、原作ファンの怒りも買わないだろうし。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
10 / 263