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……────。
その日の夜、四限の授業を終えた汐は、駅前の大通りから少し逸れた路地へ入っていった。
エレベーター横の虹彩認証を通過し、目的の階数を押す。
雑居ビルのような見た目とはいっそう裏腹に、内装はきらびやかだ。
床全面にワインレッドのカーペットが敷かれており、足取りは少しおぼつかない。
奥のカウンターへ向かう間にも、Domらしき男達から値踏みするような視線を受けた。
気付かないふりをして、汐はスツールへ腰掛ける。
「あっ、汐じゃん。今日も来てくれたんだ。さっきぶりー」
酒類のボトルを背景に、金色のマッシュヘアーをした青年が、にかっと微笑んだ。
島長[シマナガ]は汐と同じ大学の親友だった。
付き合いは高校生の頃からで、気の置けない間柄だ。
汐が何も言わずとも、島長はグラスにペリエを注ぎ、隣にフルーツバターと塩気のあるナッツ、サラミの盛り合わせを置いた。
「今日課外授業の日じゃなかった? いると思ってなかったから嬉しい」
「やだー。そんなに褒めてもサービス出来ないよ? 俺も汐来ないと思ってから嬉しい」
「ここでその呼び方はするなって」
下手なリップサービスの応酬に、二人は笑い合う。
「課外っていっても、おしゃれなカフェに行って写真撮ってきて、適当に家で製図するだけだよ」
「えぇー、それなら瑞希[ミズキ]と同じコマ取ればよかった! 楽そうでいいなぁ」
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