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女の子の気持ちなんて知る由もない汐に対し、島長は男女受けがとてもいい。
「俺と海行きたいならもっと痩せなー。お腹と二の腕ぷにぷにじゃん」
「もうちょっと……っ。やだぁ」
言いながら短いTシャツからちらりと覗く白い肌を、指でつついたり摘んだり。
いちゃついているようにしか見えない光景に、汐はげんなりする。
別にどちらかに対して好意を抱いている訳でもないし、見えないところで勝手にやってくれ、と思う。
思い返すのも嫌になる、いろいろな問題に打ちのめされて、幸せそうな他人を見るのが嫌だ。
汐はそれから一言も発さないまま、集団に紛れて講義を受けた。
四限まで終わり、帰り道は島長と二人になる。
「性別のこと。オープンにしてないんだけど。サイテー」
「ちょっとした冗談じゃん。だって、しつこいもん。ゲイだって分かったら諦めてくれないかな」
「……どこが冗談なんだよ。授業中もちらちら見られてたし」
ああいう女は口が軽そうだ。
男が好きと言われて自分が振られるやいなや、被害者ぶってすぐに周りに言いふらしそうなタイプ。
同性同士が認められつつあっても、それは偽善で掲げられていることも多い。
友達や当事者になったら、同じように言えなくなる人を、何度も見てきた。
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