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だから汐は今まで付き合った人と、街中で手を繋いだことがない。
「朝はごめんなー。あの教授、学生証回収して出席取るやつだったから。代返出来なかった。はい、ノート」
「……ありがと」
代返とは、授業に出ていないのに、あたかも出席したように欺く行為だ。
汐の通う大学では、十二回のうち四回欠席をした時点でテストが受けられず、問答無用で単位は与えられない。
「去年のテストの解答……も挟まってる」
「ああ、うん。さっきの女子にもらった。毎年そんなに問題弄らないんだってさ」
思い出し、汐は苦い表情を浮かべる。
「言っとくけど、ああいうの、全然タイプじゃないよ。友達として遊ぶなら楽しいってだけ。それにさ、単位回収するためには交友も必要じゃん」
「知ってる。お前、年上の男が好きだもん」
汐がふざけて言うと、島長は笑った。
汐が「痩せなよ」なんて言って同じことをやったら、ハラスメントで学生課に駆け込まれそうだ。
──別に、わざわざ言われなくったって分かるのに。
女の子が好きでも寂しくなったりしない。
本当に好きならどんな人でもいいと思う。
言い訳みたいに「友達」を強調するのは、同じゲイである汐に申し訳ないとでも感じているのだろうか。
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