アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
* Style2 *
-
コンクリートの外壁にぴちゃんと雨が打ちつける音を聞きながら、ほんの少し目を閉じた。
……────。
チュンチュン、と小鳥が囀る爽やかな音で、汐の意識は浮上した。
入口から差し込む光は柔らかいが、昨晩からどしゃ降りだった雨のせいで、じめっとした空気だ。
習慣で、いつも近くに転がっているスマートフォンを探したが、見当たらない。
ああ……と昨日の出来事を思い出す。
ドームから這い出て、汐は眩しい朝の日差しに目を細めた。
フェンスの向こう側では、ランドセルを背負った小学生達が列をつくり、登校している。
突っ立っていても気が遠くなるような感じはしない。
幸い、風邪は引いていないようだった。
服は半乾きで気持ち悪い。気力と体力が回復した今は、頭の中が幾分かすっきりとクリアになっている。
通ってきた街並みや道筋を思い出しながら、汐は駅まで辿り着き、タクシーを掴まえた。
家の住所を告げると、汐はふう、とため息をついて座席に深くもたれる。
朝の車通勤やバスの列に引っかかり、渋滞に巻き込まれたものの、三十分程で到着した。
鍵を持っていないことを思い出し、汐はインターホンを鳴らす。
──すっごく怒られるかも。
「出て行け」と言われたら、島長に頼ろうか。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
65 / 263