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「天使 創一さんのご家族ね。五〇ニ号室です」
「……ありがとうございます」
ナースステーションの看護師から個室の番号を教えてもらい、汐はリノリウムの床を歩く。
通りがかった医療スタッフに挨拶をされ、軽く会釈をする。
昨晩、創一の帰りを自宅で待っていたが、あれから一向に連絡もつかなかった。
病院から電話があり、眠っていた汐は紗那に叩き起こされた。
『お父さんが……肺炎で入院って』
それを聞いて、頭が真っ白になった。
汐の父親も風邪を拗らせて、同じ病で亡くなっている。
紗那が運転する車の中で、汐はずっと泣いていた。
紗那が柔らかな淡い色合いの木質のドアをノックする。
程なくして、「どうぞ」と扉を隔てた向こう側から声がかかる。
「大丈夫なんですかっ……!? 本当に……ごめんなさい。私も一緒になって、汐を探していれば……」
「いやいや、この通り大丈夫だよ。前から風邪っぽい症状はあったんだ。昨日、雨が降った後急に冷えたから悪化してね」
何と声をかければいいのか分からない。病室に入るのも怖い。
のこのことやって来て、合わせる顔もない。
俯く汐に、創一は優しく名前を呼んだ。
「汐くんは?」
「別に……だいじょうぶ」
「よかった。さすが若いなぁ」
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