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サナギ
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衛(マモル)は一つ上の学年の先輩だった。
「あーげはっ」
翌日から衛は昼休みになると僕の教室に顔を出すようになった。
衛は僕をあの空き教室に連れて行った。
そこで何故か2人でお昼ご飯を食べるようになった。
「揚羽、唐揚げ一個ちょうだい。俺のカレーパン、一口あげるから」
「パンはいりません。はい、唐揚げ。あと、玉子焼きですよね」
「やった。あーん」
開けた口の中に唐揚げを放り込む。
衛はモグモグ咀嚼して飲み込むと、また「あーん」と口を開けるから玉子焼きを放り込む。
「んー、美味い!」
頬に手を当てた衛は満足そうに微笑んだ。
最近こんなんばかりだから、おかずを多めに詰めてもらうようになった。
「揚羽のかーちゃん、料理上手いよな」
「ありがとうございます。先輩はなんでいつもパンとかおにぎりなんですか?」
「んー?だって、弁当箱持ち歩くのめんどいじゃん」
「えっ、それだけ?」
「えっ、ダメ?」
それだけの理由で僕のおかずにたかっていたのか。
「もういいです」
ため息を吐いて、弁当を食べる。
弁当箱の中に残っている唐揚げに衛の視線を感じるが無視する。
「ねぇ、揚羽は何で前髪で顔隠してんの?」
突然の問いとともに前髪と額の間に指が差し込まれて、ビクッと肩が跳ね仰け反った。
「ちょっ……何をっ」
「だって、揚羽の顔、ちゃんと見たいんだもん」
嫌がる僕に構わず伸ばしてくる衛の手を叩き落とす。
「揚羽のケチー」
衛は唇を尖らせて拗ねたふりをするが、それを無視してご飯を食べる。
チラッと見ると衛がおかずを強請って口を開けていたから、ブロッコリーを放り込んだ。
「うっ、俺、ブロッコリー嫌い」
「黙って食べてください」
嫌そうな顔をするが、吐き出すことはせずにモグモグと咀嚼する姿に少しスッし、頬が緩む。
ゴクンと飲み込むのを確認して、唐揚げを摘む。
「先輩、頑張って食べたから……」
「マモー」
僕の言葉は第三者の声に遮られた。
教室の入り口に女子生徒が1人いた。
タイの色からして3年らしい。
「あーハイハイ。じゃあな、揚羽」
僕の頭をポンと撫でた衛は残りのカレーパンを口に放り込んで、入り口にいる女子生徒と出て行った。
女子生徒が衛の腕に絡みついたのが見えたから、どこかの空き教室でエロいことでもするんだろう。
衛にあげようと思って摘んだ唐揚げを口に入れる。
美味しいはずの唐揚げが少しだけ美味しくない。
なんだろう。
胸がざわつく。
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