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後日談:母と対面 (マモル)3
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「海里(カイリ)くんは、お向かいの家の子でね、揚羽と同じ歳の幼馴染だった子よ」
「幼馴染……」
「揚羽が小学1年の夏休みに海里くんはお父さんの転勤で九州に引っ越したの」
「で、何があったか知らないけど、遠足で行った植物園でアイツ、揚羽のことを『【アゲハ】より【サナギ】の方が似合ってる』って揶揄ったのよ。それまで海里の方から揚羽にべったり引っ付いてきて遊ぶほど仲良しだったくせに」
蝶子さんは困った顔をして、瑠璃はかなりご立腹していた。
話をする2人の様子から、言われた時に揚羽が受けたショックは相当なものだったと察した。
「それがきっかけで友達にも【サナギ】と揶揄われるようになったみたいで、揚羽、元気がなくなって体調も崩してしまったの」
「原因を作った張本人は、謝りもしないで夏休み中に転校して行ったけどね。あのクソガキ」
「瑠璃」
口が悪くなった瑠璃を蝶子さんが嗜める。
「でもなんで【サナギ】なんて……」
「クラスの子のお母さんに聞いたんだけど、揚羽の見た目らしいの。あの頃の揚羽、ちょっとふっくらしていたから」
「これよ。超可愛いでしょ」
瑠璃はスマホの待ち受けにしている入学式の時の家族写真を見せてくれた。
そこには揚羽の両親とセーラー服姿の姉の瑠璃、ランドセルを背負った小学生の揚羽がいた。
少しふっくらした幼い揚羽が、弾けるような笑顔で写っていた。
「可愛い……」
「でしょー!もう、天使だったのよ!」
俺の呟きに瑠璃は激しく同意した。
これは所謂、『姉バカ』ってやつだな。
「何盛り上がっているの?……って、姉さん、何見せてんの!」
トイレから戻ってきた揚羽は、その画面を見て顔を真っ赤になって、瑠璃からスマホを取り上げようとした。
「もう2人ともお客様の前で暴れないの。揚羽、衛くんを部屋に連れて行きなさい。あ、衛くん、晩ご飯食べていくでしょ?」
「えっ、あの……」
「いいから食べていきなさい」
「……はい」
蝶子さんの圧に押し切られる形で、晩ご飯を頂くことになった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
2階にある揚羽の部屋は、普通の部屋だった。
いや、元とはいえ有名な女優さんの家なのに、そもそも家が普通だ。
「あの、先輩、飲み物持ってきますけど何飲みたいですか?」
「ああ、まだいいよ。それより揚羽のアルバム見たい」
「それは勘弁してください」
残念、断られた。
そんなのは何となく分かっていたけど。
あのほっぺたプニプニ天使、もう一度見たかったな。
「じゃあ、さ。子供の頃の揚羽の話聞かせてよ」
「ぇ……」
「幼馴染の海里クンと何があったの?」
「な、なんで海里のことを……ぁ……」
誰に聞いたかすぐ気づいたようだ。
「揚羽の母さんは揚羽のことをすごく心配している。揚羽の姉さんは今も海里クンのことをすごく怒ってる」
「………」
俯いて何も話そうとしない揚羽の手を取ると、ビクッと肩が跳ねた。
「教えて、揚羽」
それだけ言って、揚羽が口を開くのを待つ。
しばらくすると、ふうっと息を吐いて俺を見上げた。
俺を見つめて、コクンと頷いた。
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