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#13
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ぷ、ぷ、ぷ、と無機質な音の次にコール音が鳴る。
「はい、お電話ありがとうございます、矢吹出版でございます」
ワンコールで女の人の声が耳に届いた。
心の準備なんか一切せずに、とりあえずかけただけなのでなんて言っていいか困り
「あ、えっと、以前に面接をさ、させていただきます、ましたな、七瀬でし、です」
と口が空回りして名前すら上手く言えず勢いだけで何とか伝えた。
「えーと……はい、七瀬さんですね、今取締役にお繋します」
「あ、お願いします」
そう言うと昔どこかで聞いた童謡のオルゴールが流れた。
………ん?
今取締役って言った?
僕の聞き間違いかもしれない。とりしま、りやくさんという人かもしれない。
学生の頃取締役っていじられただろう。
そう、とりしまさんだって頭の中で必死にループさせる。
「もしもし、お待たせ致しました矢吹理仁です」
「えっ、あ、ととりしまさん」
「はい?」
トンチンカンなことを考えていたせいか突然耳に入ってきた言葉に驚き頭の中の考えをそのまま口に出してしまった。
「あ、あの、先程速達で採用通知が届いたのですが、秘書課の採用通知になってまして、どなたかと間違えたのではないかと思い電話させていただいたのですが」
何とか心を落ち着かせながら話す。
「いえ、七瀬さんは間違いなく秘書課に配属です」
「でも、僕、オメガですし」
「大丈夫ですよ、後日詳しい書類送りますね。あと近々引越しの準備しておいて下さい。そんなセキュリティガバガバの所にうちの社員を住まわせるなんて有り得ませんから」
「は、はぁ」
「では失礼します。」
なんだかものすごく一方的に話されてしまった。
結局秘書課は間違いじゃないってことで、引越しもしないといけなくて。
とても大変な場所に受かってしまったと今更考えても仕方がない。
それにしても今の社長の声、どこかで聞いたような?
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