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俺じゃあかんの…?
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ガッコ行きたない。
あんなふうに千里否定して、一番キモイんは誰でもない自分やのに。
もうあの輪の中におるんイヤや。
気持ち隠すどころか偽らなあかんねやろ?
千里があんな悪ふざけするから、度を超したふざけ方するから。
あほ。
まだ熱いんよ。
首んとこ、焼けたみたいに熱いし痛いん。
もし俺の気持ち分かってたら絶対あんなんせんかったやろな。
勘違いされるようなん、せんかったやろな。
もうゆうてまった方がえぇんやろか。
壊れんの覚悟で、ゆうて俺だけ輪から抜けたら、それが一番えぇんやろか。
だっておりたないやん。
オモテではイヤがって、ウラでは喜んでるようなキモイヤツとはおりたないやん。
考えるんはそんなんばっか。
金曜のあの晩から俺はちょい混乱気味で、結論出そうて不可能な事ばっかやらかそうしよる。
ムリなんに。
千里から離れるとかできんのに。
一人で考えてもどんどん悪い方へいきよる。
やでもう諦めてガッコ行く事にした。
あんま会いたいないけどな、仕方ないん。
朝からごちゃごちゃ考えながら支度して家を出た。
学校の門見るだけでまた戸惑いやら迷いが足にまとわりついて。
振り切って教室入ったら、テツとケイの重苦しい顔が目に映った。
掻き回すだけ掻き回して、黙って帰りよった二人。
もしかしたら喧嘩んなってまうかも。
思いながら近付く。
したら、テツの口から意味分からん台詞が飛び出した。
「は?もっかいゆうて」
「やでな、千里、退学んなったらしいで」
一瞬頭ん中が真っ白んなる。
またいつもの悪ふざけやって、そんな笑えん冗談やめぇって、怒れん程テツとケイの顔は真面目で。
退学?
退学てなんやねん。
朝から考えてた事が全部どっかへ吹っ飛ぶ。
ほんまに意味が分からんかった。
「退学て…、なんで?」
「土曜になんかあったらしいねんけど、詳しくは知らんねん」
記憶辿ったら、その日にテツから何回も着信があったん思い出す。
でも俺は普通に話が出来る状態やなくて。
ずっと無視ってて。
ほんで、それから。
昨日寝る前にもう一件不在着信を作った。
金曜からたった一回だけの、千里の着信。
明日どうせ会うしって、もう今日はえぇわって。
無視った。
後悔した。
「ほんで、千里は?家におるん?」
「分からん。アイツ親おらんし、アパート行ったけど居てへんかったわ」
親、おらん?
ケイの言葉に唖然とする。
そんなん初耳や。
アパートって、一人で暮らしてんの?
いつから?
ずっと?
兄弟もおらんの?
聞きたい事が今更山程頭ん中を支配する。
けど、答えてくれる本人は今ここにはおらんくて。
「ケータイも繋がらんしな。どこ行ってんやろ」
出たら良かった。
昨日、千里から電話あったんに。
ちゃんと出たらよかった。
「サスケ?」
「どこ、千里の家」
「行くん?」
「行く!ほっとけんやろ!?いきなりそんなん、訳分からんわっ!」
何したん。
何があったん。
ほに数日前までは普通にここにおったやんけ。
二日前は俺んちであほやってたやん。
後味は最悪やったけど。
「あの先輩が絡んでんやったら関わるんやめたほうがえぇで」
「は、なんそれ」
「千里てようわからん。普通にダチやってたけどな」
ゆうてる意味はなんとなくわかった。
俺が唯一嫌いなあの横顔と同じで、テツも多分そんなような事感じてたんやと思う。
けど、なんも分かってへんやん。
千里の全部、知ってるわけちゃうやん。
やのにそんなん、ゆうたらあかんよ。
その日の帰りに千里の家寄った。
古びたアパートで、こんな寂しいとこに一人で住んでたんや思たら胸が苦しくなった。
あれは、あの横顔は冷めてたんちごて、寂しかったからちゃうかって。
嫌いや思てた自分に腹が立って仕方なかった。
何回かピンポンしたけど誰も出ん。
何時間か待ったけど千里には会えんかった。
その間にかけた電話は一回も繋がらんと。
諦めて帰った次の日。
やっと千里に会えた。
「おったで、千里」
「嘘や、どこ?」
「ガッコ来てる。退学ちごてん」
「なん?意味分からん、千里は?今日来てんの?」
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