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「来てるには来てる」
「なんやねんそれ?」
「なんや俺らとはもうつるまんらしいで。ちょっと前にここ来てそうゆうてたわ」
つるまんて、なん?
言われた事がまた理解できんかった。
退学や聞かされた時よりもっと意味が分からんかった。
それって、もうトモダチやめるゆう事?
そうなん?
「千里どこ」
「屋上行く階段とこちゃう。例の先輩やらの溜まり場」
「話してくる」
「ムダや思うで」
「何がなん?千里やん」
ちゃんと話しせなわからん事ばっかやん。
いきなりそんなん言われても納得できんし。
落ち着いとるようで心臓はバクバクやった。
なんやいきなりの出来事で頭がようついてかんけど、どっかではちゃんと危機感感じてたんや思う。
千里がおるかもゆう踊り場へ着いて、したらガラ悪い先輩らに紛れて立ってて。
「千里!」
遠くにその姿が見えた瞬間叫んでもうてた。
先輩らの視線を一気に浴びても気にもならんくて。
とにかく千里のとこ行こうって、それだけで。
歩く俺の足を止めたんは、千里のその横顔やった。
俺おるん分かってんのに、先輩らはこっち見てんのに。
千里だけが横向いて。
俺を見てもくれんかった。
「なんじゃお前」
「千里のつれちゃうん。呼んでたし」
「おい、お前やって」
目の前に行っても見てくれん。
目ぇ合わしてくれん。
何で?
何でなん?
先輩に促されても千里は微動だにせんかった。
窓から外見とるだけで、ちらっとも俺を見てくれん。
「せ―」
「テツに聞かんだん?もうお前らと縁切るゆうた事」
「千里…?」
「話す事なんもないねん。邪魔。消えろ」
何ゆうてんの?
ほんまにコイツは千里なん?
にせもんちゃうの?
しばらく沈黙が続く。
ごちゃごちゃゆうかな思てた先輩らは意外にも静かで。
どうでもえぇみたいに、ケータイいじったり雑誌読んだりしてはった。
声が出ん。
けど言いたい事とか聞きたい事は頭ん中にいっぱいあんねん。
それをうまく言葉にできんくて、でもなんかゆわなって、しゃべった。
「いきなりそんなんゆわれて納得するわけないやろ。ちゃんと説明せぇや」
何で外ばっか見てんねん。
何でこっち見てくれへんの。
ほんまに友達やめる気なんか?
理由は?
理由ゆうてくれな俺はそんなん許さんよ。
絶対許さん。
黙り込む千里にイライラ感が募る。
こっちを見もせんと、今度は床に視線を落として。
しまいには先輩に気ぃまで遣われた。
「千里、なんやゆうたれよ」
「えぇんです。ほっといてください」
その冷めた声に血が逆上する。
しゃがむ先輩らまたいで、千里に詰め寄った。
胸倉掴んで、したら逆に手首取られて。
壁に押し付けられた。
「なんやねん。消えろゆうたやろ」
「ほなっ、ちゃんと説明せぇや!」
やっと目がおうた。
やっと見てくれた。
あん時みたいに優しいそれとはちゃうけど。
でも少しだけほっとする自分がおった。
「えぇから行け。俺んとこはもう来んな」
掴まれた右手がじんじんする。
こんな状況でも、千里に触れられた場所が熱くてたまらんかった。
「勝手な事ばっかゆうなっ、そんなんで俺が離れてくとか思てんの!?」
理由もわからんままそんなんゆわれて、ほんではいそうですかって、お前ん事諦めるわけないやろ。
あほ。
ほんまにあほやわ。
突然離された右手が力なく下へさがった。
また床しか見んくなった千里に、段々マジでキレそうんなる。
「ほんまウザイヤツやな。説明とかえぇねん、はよどっかいけや」
「お前はそんなヤツちゃう。理由ないのにそんなんゆうたりせん」
わざとやろ。
何かあってんな。
やでわざと遠ざけようしてんねやろ。
ちゃうん千里。
ちゃうの…?
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