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「お前は俺の何を知ってんの?たかが数ヵ月で知った口聞くな」
強く返されて言葉に詰まる。
ゆわれた事がまんまその通りやったから。
ほんまにたかが数ヵ月の友達期間。
全部を知ったつもりでおったわけやないけど、でも正直、裏があるようなヤツとは思てなかった。
好きんなったからそう信じたんか、そう思たから好きんなってもうたんか。
どっちが先かは分からんけど。
「ずっと…っ、ダチでおってやゆうたんに、…あかんの?」
「受けた覚えないけど」
「悩みあったらゆえって、そうゆう意味ちごたん?」
ちょっとずつ受け入れ始める自分がおった。
信じ難い現実が、ちょっとずつ頭ん中へ入り込んでくんねん。
拒否っても、捩じ込むように植え付けられる。
「俺じゃあかんの…?なんもできん?」
悔しくて涙腺からだだ漏れる涙。
ほんの数日前まではあんなにじゃれて笑ってしとったんに。
怒鳴って声張り上げて、それでも俺にひっつく千里がおったんに。
なんで?
なぁ、昨日電話に出てたら何かちごてた?
理由ゆうてくれてた?
したら俺が悪いん。
千里からの呼び掛け無視した俺が。
せや、千里はちゃんと電話くれた。
もしかしたらそれはSOSやったかも知れん。
やのに無視ったん。
俺が悪い。
俺のせい。
勝手な理由で、あの日拒否る事までしたこの俺が。
「もうえぇやろ。行けや」
どうしたらえぇ。
どうやったら元に戻るやろか。
わからん。
なんもわからへん。
ゆう通りにするしかなかった。
そっから消えるしかできんかった。
たかだか数ヵ月。
もし何年も付き合いがあって、ほんで親友みたいにもっと仲良かったら。
俺をちゃんと頼ってくれてたんかな。
全部話してくれてたんかな。
教室戻って、テツとケイ見たら子供みたいにぐちゃぐちゃに泣いてもうて。
頭やら肩やらぽんぽんされながら、
「もうほっとけあんなん」
ゆわれて。
けどムリやった。
何をどうしてもあかんかった。
あんなに冷たい態度取られても、今までの千里が嘘やとかどうしても思えんかった。
消えやんの。
身体中に染み付いた千里の体温が。
感じたその時からずっと残って消えてくれへんねん。
あほ。
色んなもん置いていきよってからに。
けど俺の心は持ってったまんまやん。
こんな状態でどうやって諦めろゆうんよ。
千里のあほ。
俺は諦めんから。
絶対絶対諦めへんから。
(4)おわり
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