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ただ千里が好きなだけやねん
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「なぁ、ウチの学校遠足とかたるいもんあるん知ってた?」
「うざ、誰が行くねん」
ほんまにダルそうに椅子にふんぞり返るテツと、机に肘ついてその手に顎乗っけるケイ。
俺は…、説明いらんやろ。
千里の膝上じゃ。
その千里は俺の背中にもたれて仮眠中。
今や!思て逃げようしても無意識にぎゅうされんねん。
怖いわほんま。
「来週その遠足やねんて」
「うそん、僕行かなーい」
「僕もー誰がそんな幼稚じみた行事に参加するんですかー」
「はい!俺行く!!やで皆一緒に行こうやっ!」
「…………」
「…………」
シカト!?
サスケくんむちゃ悲しい…。
勢いよくピンっと挙げた手を静かに下ろす。
軽くしょげてたら、寝てた筈の千里に頭ナデナデされた。
「俺行く。つか俺とサスケはワンセットやん?」
「千里…」
なんや意味わからん台詞やけど嬉しいわ。
さすがに一人で参加は虚しいもんがあるからな。
千里行くんやったら二人でもまぁええか。
「どこなん?」
「観光がてら紅葉狩りとかちゃうん」
「季節的にそれっぽい」
紅葉狩り…。
えぇな。
俺そんなん行った事ないねん。
しかも千里と一緒にとか、むちゃくちゃ楽しみや。
「ちゃうて、どっかの遊園地らしいで。最初は紅葉狩りゆうてたけど、参加率落ちそうで変更なってん」
「千里詳しいな」
「リサーチゆうやつや。サスケと初のお出掛けやし?」
「ふーん、よかったね。デートと履き違えたそのめでたい頭でリサーチとかようできたな」
眠いんかしらんテツが、半目でそんな事言いよる。
けど千里は俺をぎゅうしながら背中に顔押し付けて軽くスルー。
ケイやったら今頃胸倉の掴み合いや。
大人やわぁコイツ。
そんなとこも好きや。
「テツとケイも行こうや。皆で行った方がおもろいやん」
「絶対イヤ」
「パス」
「あかんよサスケ。コイツら絶叫系弱いから」
太股を這い出したその手を俺に払われながら千里がゆう。
絶叫系あかんて…。
「ヘタレやん」
「あほか。誰がやねん」
「テツはそうかもしれんけど俺はちゃうで」
「何ゆうてん。一番のヘタレボーイはお前やろが」
「ほならその遠足でどっちがヘタレか決めようや」
「上等じゃ」
流れが変化したその空気に思わず千里を振り返る。
したら耳元で、
「単細胞の扱いよう心得とき」
ゆうて、褒美にとほっぺにちゅうされた。
わざと弱いとかゆうてんな。
コイツらすぐムキんなるから。
千里てようわかってる。
なんや敵に回したら怖そうなタイプやん。
既に二人は何回連続でとか負けた方がとかごちゃごちゃ盛り上がってる。
コイツらのダレ具合い見て、絶対四人でとか無理や思てたんに、千里のおかげや。
「あんがと」
「お礼やったら言葉よりちゅうのがえぇな」
「それはムリ」
口尖らせて顔寄せてくる千里を肩でガード。
やっぱあほやコイツ。
場所わきまえろゆうねん。
かくして来週は遠足参加となりました。
今度はフレフレやのうてテルテル作らなな。
もしかしたらその前日が今までん中で最高の祈りんなるかもしらんわ。
そんくらい俺は楽しみで仕方なかった。
「晴れた晴れたっ!!やったやん!」
「サスケ可愛い…」
「曇りでよかってん。ガン照りとかクソ暑いし」
「溶けんなよ。もやし野郎が」
「お前も熱中症で倒れんなよハゲ頭」
「もう喧嘩すな!せっかくやから楽しぃいこうや」
ほんまにコイツらは…。
んでもって、
「千里も抱きつくんやめぇ!うざかいねんて!!」
「何気ひどない…?」
晴れた!!
あんがとテルテル坊主。
リラックマん次に家宝にしたろ。
出発予定の時刻んなって、各クラス用意されたバスに乗り込む。
あらかじめ決めてあった席へ移動して、興奮覚めやらぬ気持ちと共に腰を下ろした。
昨日の席決めで、テツは勝手に黒板に書かれたバスの一番後ろの箇所に自分の名前書き殴ってん。
後から当然のようにしてケイも。
おまけに俺と千里の名前まで。
決定やゆうみたいに赤丸までしてな。
文句ゆわれるかな思てたけどあっさり快諾。いちゃもんつけるヤツなんか一人もおらんかった。
大丈夫やろか俺ら…。
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