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医療部 2
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ひなどり棟の児童用の朝食を持って部屋に向かい、廊下から中を確認する。確かに少年の体勢は昨日最後に見た時と変わらなかった。一晩中あんな風に座っていたら、体は疲れきっているだろう。俺は部屋に入り、少年に近づいた。
「おはよう。朝ごはんだぞ。今日は、だいこんがゆと、お水」
少年の前にトレイを置くが、反応は無い。もうかなりお腹は空いているだろうに、手や視線が動く気配は無い。
「昨日は眠れなかったんだって? 事務員さんが心配してたぞ」
「……」
「初めての場所で寝るのは、やっぱり怖いかな」
「……」
無反応。これは確かに、少し危ないかもしれない。無理に食べさせられないからと言って放置していたら、脱水症状に陥ってしまう可能性もある。介を呼ぶしかない、か。
俺は医療部へ連絡を入れてもらうよう事務室にお願いして、もう一度少年の部屋に戻った。
「今からお医者さん来るからな。でも、怖い人じゃないよ。君を助けてくれる人」
そう声をかけてから、早めに名前を決めてやらないと、と思う。いつまでも「君」なんて呼んでいるわけにもいかない。しかし、今後一生ものになる名前だ。テキトーに決められるものじゃない。俺はこの命名が、施設での仕事で一番苦手だった。
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