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大丈夫
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俺は少年の体を抑えたまま、PHSで事務室に連絡した。薄い掛け布団を持ってきてほしいと頼むと、朝と同じ女性事務員が部屋に届けてくれた。夏用のうすい掛け布団は可愛いクマのイラストがプリントされている。俺はそれを少年のお腹のあたりまで引き上げてかけてやった。
「2時間は動けないから、このまま寝よう。大丈夫、何も怖いこと無いからな」
「……ふぅ」
少年はまだ、時折鼻から声を出していた。しかし、体力も限界に近づいていたのだろう。薄く開いていた瞼を少しずつ下げ、またハッとして持ち上げというのを繰り返した末、最後に全身の力を抜くように目を閉じた。気絶した、というのが正しいかもしれない。
俺は少年の肩から手を離した。点滴が終わるまで離れられないので、そのまま少年の隣に座って彼の寝顔を見る。今は穏やかそのもの。顔に傷さえなければ、普通の子供と変わりない。幸せな、普通の家庭に育った子供達と。
この子の名前、どうしようか。
俺は少年を見ながら考えた。これまでにも2人くらい名前を付けたことがあるが、その時も随分悩んだ。俺は良い名前をパッと決めることは出来ないため、子供と一緒に過ごしていくうちに、なんとなくその子の特徴や特性が掴めてきてぼんやりと名前が浮かんできて、良い漢字を当てはめて……という流れを踏んでいたが、この子は未だ何も掴めていない。頭に何も浮かんでこない。
新しい人生を歩き始めた、ということの証にも、早く決めてやらねばと思うのに。
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