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新しい日常
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翌日、新たに幸月の担当となった花見さんと共に105号室へ向かった。花見さんは終始気まずそうな雰囲気で、俺も話しかけることが憚られた。
部屋に入ると、幸月はいつも通り起きていて、部屋の真ん中にぼんやり座っていた。膝にタオルケットをかけ、そこからひょっこり見えるテディベアの手をきゅっと掴んでいる。
幸月ははじめマットレスの一点を見つめていたが、部屋に入ってきたのがどうやらいつもの男一人ではないらしいと気が付くと、緩慢な動作で顔をあげた。
「おはよう、幸月君。よく眠れたかな?」
先ほどまでの固い雰囲気をふっと消し去って、花見さんは高すぎず低すぎない柔らかな声音で幸月に話しかけた。彼女は幸月と距離を取り、しゃがみこんで同じ目線になると、首を傾げてにこっと微笑んだ。
幸月は本当に微かに、少しだけ瞼を持ち上げた。
常日頃見ていない人間からは違いなどわからないだろう、そのくらいの変化だ。そして、花見さんの後ろに立つ俺を目だけで見た。上目遣いになった幸月の目に、黒い前髪がかかる。そろそろ切ってやらないと、なんて、ここでは関係の無いことを思った。
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