アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
新しい日常 15
-
午前中はいつも通りつばめ棟で子供達と遊んだり話したりして過ごした。午後は学習室で、桜や中学校に通う予定の子供達に勉強を教えた。子供達と話していると、余計なことを考えなくて済む。彼らのエネルギーは大人達をどんどん引っ張っていって、休む暇を与えてくれない。そうして時に振り回されるのが、心地良かったりもするのだ。
「ここは、分数にして解くと上手くいくよ」
「分数……あぁ、そっかぁー」
来年中学校に入学予定の男の子は、アドバイスを聞いてそれまで止まっていた鉛筆をまた動かし始めた。それを確認してから、今度はその隣の子が練習している漢字を確認する。見本を見ながら書いても、どうしてか間違ってしまうことがある。それを指摘したり、より大きな見本の字を書いてやると、上手く書けるようになったりする。うん、大丈夫そうだ。
「冴島先生―」
学習室の扉を開けてきたのは悠生だった。
「どうした?」
「ちょっと雪君のこと見ててもらえないかと思いまして。今、俺が担当してた里親の方から連絡があって、手が離せないんです。多分1時間くらいで終わると思うので、それまでお願いできますかね?」
「わかった」
「ありがとうございます」
悠生はそれだけ言うと走って行ってしまった。振り返り、学習室の子達を確認すると、彼らは一様にこちらの様子を伺っていた。きょとんとしているその様子が可愛らしくて、自然と口元が緩む。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
51 / 801