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新しい日常 17
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入った瞬間、かたん、ことんと木の触れ合う音がした。目線を下に下げると、部屋の真ん中にいた雪君が積み木で一人遊びをしているところだった。雪君は入ってきた大人がいつもの先生ではないことに気が付くと、咄嗟に近くにあった大きな犬のぬいぐるみを抱えて、そのまま後ずさった。背中が壁にぺたりとつくと、小さく体育座りをして目だけこちらを見つめて動きを止めた。
こういう反応も、今では懐かしい。つばめ棟の子供達とは全く違う、まだまだ大きな傷の癒えていない子供の姿。大人に怯える、小さな体。
「だ、れ」
か細く今にも消えてしまいそうな声が聞こえる。俺は扉の前に座り、微笑んでみせた。
「悠生先生のお友達だよ」
「……せんせいの?」
「そう、先生のお友達」
「……」
雪君はじっと黙って俺を見つめた。あまり目線を合わせすぎるのも怖いかと思い、俺は先ほどまで雪君が遊んでいた積み木を手に取った。この部屋には、積み木以外にもブロックやパズルなど様々なおもちゃが散らばっていた。悠生と雪君がここで楽しく遊んでいる姿が目に浮かぶ。知らない人に自分から話しかけ、このくらい声を出せる雪君だから、経過も良いのだろう。だから悠生は俺に彼を頼むことが出来たのかもしれない。
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