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食事 2
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食事をする前に、花見さんには部屋から出てもらうようお願いした。複数人の大人に見守られて食べるのはプレッシャーだろう。
「よし、じゃあまずは……野菜から食べようか」
野菜は夏らしくナスの炒め物とプチトマトだった。幸月の分は少なめ、俺の分は普通量だ。
俺は幸月にスプーンを持たせた。しかし幸月は動かない。持たせられたスプーンと俺を見比べるその様子から、そもそもスプーンが何なのか、よくわかっていないようだ。
「それで掬って食べるんだよ。こう、な」
掬う動作を見せてやると、幸月は自分のお皿をもう一度じっと見つめてからおそるおそるというふうにスプーンを沈めていった。そして、どの野菜を掬ったら良いかわからないように、色々の野菜をつんつんとつついた。
「じゃあ、まずはナスにしよう」
掬ったナスを幸月に見せてやると、彼は同じ野菜を探し当ててスプーンにのせた。
「そして、食べる」
スプーンを口に入れておおげさに咀嚼する。うん、美味い。
幸月は、俺が飲み込んだのを見届けた後にナスを口に含んだ。そしてゆっくり噛む。くちゃくちゃと音が鳴った。まだ口を閉じたまま噛むことはできないらしい。
いずれ直さねばならない癖だが、今は1人で食べられるようになることが優先だろう。
「よし、食べられたな。偉いぞ」
そう褒めて頭を撫でようとすると、幸月は少し肩を縮こめて怯えた。しかしそこから抵抗することはなく、黙って撫でられている。まだ頭の上に手がくるのは怖いらしい。
手をどかすと、幸月は次の一口を自ら食べた。美味しかったのか、これが正解だとわかったからか。表情の変化が乏しい今の幸月からはどちらなのか読み取れなかったが、それでも、幸月の成長の一端が垣間見れた。
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