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介と夜
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夕食の後は大変だった。
離れようとすると泣いてしまうのだ。それも、この世の終わりかとでもいうような大絶叫。「いや、いや」と服を引っ張られ、涙でぐちゃぐちゃになった顔を見ていると、こちらも胸が痛い。
しかし、これ以上幸月についていると規定の労働時間を大幅に超えることになる。
ひなどり棟職員はただでさえ宿直が連続することが多いため、夜は早めに部屋に戻って休むことが決まりになっているし、昼間は職員室で事務作業をすることになっている。
しかし俺は今日の昼間までつばめ棟で勤務していたため、昼間も普通につばめの子ども達の相手をしていたわけだ。どう考えても過重労働。ここで幸月のそばにいたら、体も心配だし、施設自体も労基違反で訴えられかねない。
「幸月、ごめんな。明日の朝ちゃんと会いにくるよ。嘘じゃない」
「やっ……や……」
幸月は首を横に振って、視線を合わせるためしゃがんでいた俺の胸に飛びついた。服を引っ張る手は力が込めらて真っ白になっている。
どうしたものか。
「幸月、良い子だから、ね?」
ダメだ、何がなんでも離れたくないらしい。他の職員に引き渡したらまた勘違いしそうだし、だからといって興奮状態の幸月をこのまま置いていくこともできず、俺は仕方なく医療部に電話した。
これは強制的にでも寝かせてやらないとダメだ。
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