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介と夜 4
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共に本館へ戻る最中、先に口を開いたのは介だった。
「良かったね、幸月君。桐也の担当に戻って」
「あぁ」
「ずっと心配してたでしょ。桐也の様子、なんかおかしかったし」
「そんなにわかりやすかったか?」
「とっても」
そう言って介はふふっと笑った。花見さんに見破られていたことも思い出し、恥ずかしくなる。
「施設長、申し訳ないって言ってたよ。自分のミスだってね。後で謝罪か何かあるんじゃない?」
「別にいいのにな。あの時幸月の発話や反応が薄かったのは事実だし」
「それでもね。実際今幸月君の状態はあまり良くないのは、あの時桐也を担当から外したからなんだから」
「うーん……」
介はあの時俺を担当から外すことに反対していたから、尚更施設長を責めたい気持ちがあるのだろう。
しかし俺は、そんな気にはなれなかった。確かにミスは許されないのだろうが、ミスを無くせないことも事実だ。ミスによって引き起こされた事象をどう解決するか、そこまでがこの仕事だとそう思う。
曖昧な俺の反応を、介は笑った。
「やっぱり桐也は優しいね。大学の頃とおんなじ」
「大学の頃?」
何かあっただろうか。
介は俺を見てにこりと笑うと、立ち止まった。
「これからちょっと話そうよ。お互い、最近あんまり話せてなかったでしょ」
介の提案に少し驚きつつも、俺は無意識に頷いていた。
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