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介と夜 5
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医務室に入るのは久しぶりだった。つばめ棟職員ならまだしも、ひなどり棟担当時はほとんどここに来ない。医療部がひなどり棟に赴くのが基本だからだ。
介は部屋の中央にあるソファを俺に勧めた。ソファには可愛らしいぬいぐるみが所狭しと置いてあり、そこに大人の男が座ると少し異質な光景になる。しかしそれも、つばめの子供達が訪れた時に萎縮してしまわないための配慮だ。
介はグラスに冷たい麦茶を注ぎ、テーブルに差し出した。そして向かいのソファに座る。それを認めてから、俺は先程の話題を掘り返した。
「で、大学の頃と同じってどういうこと?」
早速麦茶で喉を潤していた介は、「あぁ」と言って笑った。
「そのまんまだよ。大学の時もさ、桐也優しかったなって。ほら、大学生の時、俺たちメルヘンの児童養護施設を支援する団体に入ってたじゃない」
「そうだな」
俺と介は歳の違う幼馴染であり、そして大学の同期でもあった。それは介が2年浪人した末に医学部に入学したからだ。学部こそ違ったが同じ団体に所属して、そこでも変わらず仲が良かった。
「そこで、地域の施設にボランティアに行こうってなった時。学生の1人が企画した活動で、その施設に入ってた児童が軽くパニックになっちゃったの、覚えてる?」
そこまで言われて、やっと何を言わんとしているのかわかった。
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