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発熱 2
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お昼になっても幸月は目覚めなかった。水分をとって欲しいところではあったが、悪夢も見ず穏やかに眠る彼の邪魔はしたくなく、俺は届けてもらった昼食を一人で食べた。
その後本を読んだり、部屋でできる事務作業をこなしたりして時間を潰していると、幸月が布団の中でモゾモゾと動き出した。
仕事を中断して幸月に近寄り、声をかける。
「幸月、おはよう。よく寝てたなぁ」
「……」
いつものように受け答えは無い。幸月が体を起こし、表情が見えたとき。俺は何とも形容しがたい違和感を覚えた。
一見いつも通りだ。
しかし、何か違う。
同じ無表情でも違う。
目の焦点が合っていない……?
「幸月?」
「ぃや……っ」
喉を締め付けたようなキリキリとした声で、幸月は俺を拒絶した。
そして握った両手を頭の上に置き、そのままガンガンと叩き始めたのだった。
明らかな自傷行為だ。
「幸月!」
「あっ、あぁ!! あー!!!」
鈍い音が部屋に響く。
頭を叩かないように手首を握ると、それに抵抗するように力はさらに強まった。どこにこんな力があったのだろうというくらいだ。この勢いで叩くのは流石に危ない。
「うー! ううぅ!!! やーぁああ!!」
「幸月、だい……じょうぶ、大丈夫だから……」
俺の手から逃れようとする幸月をどうにか押さえ込み、両手を床につけさせる。それでもなお、幸月は肩で息をして時折呻いていた。
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