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得意創作 18
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「ひなどりの子供の中にはまだ得意創作が見つかっていない子もいるし、それを考えたら幸月はかなり経過が良いと思う。でも、まだ俺以外の人間と全く関わってないっていうのは、早めにどうにかしなきゃいけないと思ってさ」
幸月の調子が良さそうなのを見て、数日前ひなどり棟2階のホールへ連れて行った。
そこは以前交流会をしたスペースで、場所自体にトラウマが植え付けられていないか、遊ぶだけなら大丈夫かを確認しに行ったのだが、ダメだった。
幸月は俺にしがみついて、周りのおもちゃには目もくれなかったのだ。2人きりだったというのに。
「交流会以来ホールが怖くなったみたいで。場所だけでも怖いのに、その時周りにいた人と一緒にいるなんてもっと難しいだろ? でもこのままでもいられないしなぁ……」
幸月は花見さんを見ると、今も少し怯える。
それは花見さんが幸月をいじめていたからではなく、おそらく花見さんを見ると俺と引き離された時のことを思い出すからだ。
幸月はぼうっとしているように見えて、いろいろなことをしっかり記憶している。怖い思い出なら尚更だろう。交流会が嫌な思い出になっているなら、その場にいた児童や職員の声を記憶していてもおかしくない。
「なるほどねー」
介はまた一口コーヒーを飲んだ。
部屋に落ちた沈黙に、こんなこと相談されても困るだろうなと考える。介と幸月を関わらせようといったって、幸月は介にもあまり良い印象を抱いていないだろう。だからといってつばめ棟の子供とは会わせられないし……。
「じゃあ、うちの子と会ってみる?」
思いがけない言葉に介の方を向くと、介は「良いこと思いついた」とでも言うように自信ありげな表情を浮かべていた。
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