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「僕、大学を出て働ける年になった。だから今からでも働きたい」
「働いて、純さんに今までかかった学費と生活費を返そうって?」
楓さんがそう聞くと、純也は大きく頷く。
純さんというのは、楓さんと純也のお父さんの事だ。
「…俺も同じこと考えたよ」
楓さんが小さくため息をつく。
「もうあの家には帰らない。その代わりに今までの俺にかかったお金は返そうって」
楓さんは肩を竦める。
「でも純さんは、今でも俺のところに仕送りって名目で送金してくるんだ。こっちはそんなものいらないから、さっさと親子の縁を切りたいんだけどな」
純也は無表情で楓さんを見つめる。
「純さんは親から莫大な遺産を相続しただろう?」
純也が小さく頷く。
「今も印税が入ってきているみたいで、僕が楓くんに出来ることはこれしか出来ないから、って」
楓さんは再び大きくため息をつく。
「だから純也が自分にかかったお金を返しても、純さんはその倍にして純也に返してくるってこと」
「…お兄さんは、あの人達と連絡取ってるの?」
純也が楓さんに聞く。
純也が言う、あの人達というのは両親の事だ。
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