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「よい成績をおさめ、よい仕事につき、よい異性を見つけて結婚し…幸せになることです。」
「…サンタに喧嘩を売っているのか??」
物じゃないだろ、とぷくうと頬を膨らませる紅貴に、執事は苦笑いしてみせた。
「…私にプレゼントだなんて、もったいないです。贈り物がなさりたいなら、他の人にどうぞお願いしますと言いますよ。」
「その時はぜひオレを紹介してくれっ!!」
「現金ですねぇ、紅貴様。」
漆は片拳を口元に運んでいき、くすくすと笑う。…一方で紅貴は、漆が自分じゃない人と幸せになるなんて本当は許せそうになかったけれど、小さな主はぐっと我慢した。
漆が本当に望んだ人生なら、自分が拒むべきではないと思った。
翌朝。
午前八時に執事が主の部屋をノックすると、気だるげな返答があった。部屋の扉を開けて中に入ると、何やら天蓋ベッドの上で項垂れる紅貴の姿がある。
「…どうなさいましたか。」
執事が眉根を寄せてからベッドに近づいていくと、小さく肩を震わせながら何やら淡い黄色の小包を胸に抱く紅貴の姿があった。
「なあ、うる。オレはいい子じゃなかったんだろうか。」
黄色い包装紙は少し剥がされていて、『願いはきっと叶うよ』と英語で書かれたメッセージカードとウイッチが垣間見えた。
「…サンタさん、オレの願い事を叶えてくれなかったんだ。」
漆はそんな気落ちした様子の小さな主を見かね、部屋の窓に近づいてカーテンをシャッと勢いよく開ける。
「…あなたのことです。どうせサンタに無理なお願いでもしたんでしょう。」
途端、小さな主の両肩がビクッと波立つ。…漆はやれやれと肩を落とした。
「例えサンタといえど、叶えられないもの、贈れないプレゼントはありますよ。それより、サンタは三つ目のプレゼントを用意して下さったみたいですよ。」
「え…??」
茫然と顔を上げる小さな主に、執事は窓の向こうを手で示してみせた。窓の外は昨日と打って変わって、目をひくほど白一色だ。…外には、雪景色がどこまでも広がっていた。現在、雪は止んでいるため、深夜から今朝にかけて降ったのだろうか。空はどんよりとした曇り空が続いており、まだ雪が降る可能性すら見受けられた。
「うわあ…っ!!」
さっきまでの憂いはどこへやら。裸足のまま窓に駆け寄ってきた小さな主に、執事は姿勢を低くして声をかける。
「…失礼ながら、助言させていただきます。今日は寒くないようたっぷり服を着こんで、お外で遊ぶのもよろしいのでは??」
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