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18
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「第一次性別検査の結果が来た。」
室内の温度が俄かに冷え切ったように紅貴は感じた。無意識に、いつの間にか拳にしていた両手が震えだす。
「谷ヶ崎紅貴。…お前は、βだ。」
紅貴は、小さく俯く。頭の中は相変わらず真っ白だ。だが、辛うじて声を押し出すだけは出来た。
「…うそだ。」
「嘘ではない。」
燈の落ち着き払った声音が、嫌でも紅貴に現実を教えてくる。
「嘘だ、嘘…。だって、親父もおふくろもαのはずじゃないか。…だったら!!」
「α同士純血でも、βが生まれる可能性はある。」
「そんな…っ」
衝撃に打ちのめされる紅貴を気遣ってか。執事が両肩に手を添える。若い主従を見据え、当主は堂々と言い放つ。
「私の代で谷ヶ崎のαの血を絶えさせるわけにはいかない。…悪いが、紅貴には私が決めたαの許嫁と結婚してもらう。そうだな…。18になったら婚約させよう。」
いち早く反論したのは漆だった。
「そんな…っ!!今までは、αの異性なら結婚を許す…自由恋愛という約束だったじゃないですか!!」
「前提が違うのだ、漆君。…それは紅貴がαだったらの前提なのだから。」
「…っ」
奥歯を噛みしめる執事だったが、ハッとした様子で小さな主を振り返る。…紅貴は、立っているのもやっとという状態で、顔面蒼白だった。
「…紅貴様の顔色が優れません。ご用件がこれ以上ないようでしたら、部屋を後にしてもよろしいでしょうか??」
「かまわんよ。」
燈の声に漆はほっと胸を撫でおろし、ほとんど茫然としてなすがままの小さな主を引き連れ、当主の部屋を出ていく。
扉を潜る前に、燈は自身の息子に声をかける。
「紅貴…。お前はαの家系に生まれた忌み子だ。私のいう通りにしなければ、お前は近い将来、谷ヶ崎の家を壊す人間となるだろう。」
漆は肩越しに振り返って燈を睨みつけると、小さな相手の両肩を抱くようにして、当主の部屋の扉を出た。…直後だった。
「…漆、お前は確か、βだったよな。」
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