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「いや…っ」
女子生徒は短い悲鳴をあげ、紅貴の手を薙ぎ払う。一方で、紅貴はニタニタしたまま、口を開く。
「あ~あ、期待して損した。一回壊れたら、ちっとは見れる顔になると思ったのに、ブスは相変わらずブスのまんまだなっ!!」
「アンタ最低!!人を何だと思ってんのよ!!」
金切り声をあげ、喚く女子生徒に紅貴は冷めた眼差しで言い切る。
「…決まってんだろ、オレの玩具だよ。」
信じられないという風に目を丸くする女子生徒の前で、紅貴はニィッと意地悪く口角を引き上げて見せた。
数分後。
紅貴は薄っぺらい鞄を肩に引っ提げ、時折気怠そうに欠伸をしながら、高校の下駄箱に向かう。肩で風を切って移動する紅貴は、事故にあった15歳の誕生日の時よりずっと身体が大きくなった。十分に筋肉がつき、身体は一回りも二回りも大きくなった。背も成長し、子供だった頃の面影は欠片もない。今では170㎝ちょいの高身長男子である。鴉の濡れ羽色の短髪はややぼさぼさ気味だ。西洋系の顔立ちはというと、一層大人っぽく仕上がっていた。高い鼻梁や薄桃色の唇に変わりはないものの、亜麻色の双眸に生気はなく、唇はいつもひん曲がっているため、全体的にどこか飄々とした雰囲気が漂っていた。
自分の下駄箱を開けると、中には口紅やらチョークで『最低!!』『人でなし!!』と落書きされているのが見える。紅貴が無視して靴を取り出すと、玄関に置いた拍子に靴の中にいっぱいまで入れられた金色の画鋲が派手な音を立てて周囲に飛び散っていく。
はっ、と鼻を鳴らして、紅貴は一足ずつ靴を逆さにして、中に詰まった画鋲を出す。…下方に散らばる大量の画鋲には目もくれない。
「小物が…。」
低く唸りつつ、安全を確認して靴を履く。さぁ一歩踏み出すぞ、というところで後方から声がかかった。
「ルミから連絡があった。…お前、また女子をフッたんだってな。今日、終業式じゃん。いつでもおかまいなしかよ。これから、楽しい楽しい夏休みだってのにさぁ~。」
振り返ると、そこには黒髪の男子生徒がいた。女子のショートカットのような髪型だが、身長は紅貴と同じくくらいなため、立派な男子に見える。読者モデルのような早熟そうな甘いマスクに、熱を上げる女子も少なくはないだろう。
けっ、と吐き捨てるようにしてから、紅貴は男子生徒に答える。
「飯山から寝取った女だろ??二人とも壊れるし面白いだろうなって思ったんだけど、泣き顔までブスで正直萎えた。飯山も喧嘩売りにこないし、ショージキ時間無駄にしただけだったわ。貝沢、お前があの女好きなら今フォローに行けよ。また男にホイホイ身体開くかもよ。」
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