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「…問題は、その後だ。『抱きたい』っつったか、あいつ…!!だ、抱きたい…っ!!」
紅貴の視線が空中を漂い、きっちり三秒後、断言した。
「いや、無理!!」
言った後で、また深々と頭を抱えだす。
「その…む、無理ではないかもしれないんだが!!“愛される側”より“愛する側”に立ちたいというか!!リードしたい願望があるというか!!キス迫られてびっくりして、思わず辛辣になっちゃったが…。今思えばキスくらいはしてもよかったんじゃないか!?…うん。あの時のキスはむしろ受けるべきだったじゃんか…っ!!これから何事もなく主人と執事の関係に収まるよりは物凄くマシだった…っ!!親父にまた許嫁を用意される前に、キスくらいしておきたかった!!」
悶々とする紅貴の目の前、机の上で携帯が震えだす。ちょっぴり涙目の紅貴が電話に出ると、軽やかなクラスメートの声が聞こえてきた。
『あっ、谷ヶ崎~??俺、貝沢だけど。元気している??』
「おう、貝沢か。」
机にびろ~んと突っ伏しつつ、紅貴は携帯を耳元で握りなおす。
『お前ンとこ、なぁ~んか大変らしいな。偶然パーティーで一緒になったルミが高笑いしながら喋っていたわ。』
電話をかけてきた人物は苦笑気味に喋りかけてくる。紅貴はああ…、と一声唸る。
「まぁ~、親父はあっちこっち行って大変そうだけど。オレは正直、それどころじゃないっつーか…。」
やや間を置いて、意外そうな声が聞こえてきた。
『へぇ~。谷ヶ崎でも参ることってあんだ。』
「…お前はオレを買いかぶり過ぎなんだよ。オレだって困ることくらいあるわ。」
『ふぅ~ん。…どんな悩み事??俺で良ければ、相談相手くらいにはなるけど。』
う…、と紅貴は一瞬言葉に詰まったが、話の流れだと割り切って説明に取り掛かる。
「…お前ン家、使用人いる??」
『あ~…。まぁ、お前ンとこより金持ちではないけど、いるにはいるよ。』
「し、執事とか…。」
貝沢はノリ良く、いるいると答えてくれる。歯切れの悪い紅貴の質問は続く。
「その…お世話されて、ちょっと…あの、くらっときたりしない??」
電話口で、貝沢は絶句し…きっちり三秒後答える。
『俺についている執事は、今年70歳を迎えるβのじいちゃんなんだけど。』
これには流石の紅貴も謝罪の言葉を口にする。
「わ、悪ィ…。」
『いや、今は枯れ専を嗜む方もいるから一概に否めはしないんだけど…。あと、じいちゃんには一つ下のβの奥さんがいて、その人はうちでメイド長やっているよ。』
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