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数日後、学校から帰宅した俺は部活も終え、夕飯前にベッドに寝転がり雑誌を読み、ダラダラと過ごしていた。
不意に玄関がノックされ、開けると....。
天使の笑顔がそこにあった。
「これ...カップケーキなんですが、良かったら....」
店名も入ってはいないシンプルな箱を受け取った。
「あ、その...お口に合わなかったら、す、すみません。ま、不味かったら捨てていいですから....」
おどおどしたハルの姿もまた可愛らしい。
だが、そのセリフに気がついた。
「もしかして、手作り?」
「は、はい...。嫌ですよね、男の僕からなんて....」
「そんな事ないよ、ありがとう、嬉しいよ」
ハルが満面の笑顔になった。
「柔道部、て聞いたものだから、糖分は疲労回復にいいかな、て」
心遣いもまた嬉しい。
「ありがとう。良かったら、上がって一緒に食べないか?」
ドキドキしながらの提案に、ハルは顔色を曇らせた。
「あ、そうしたいですけど、でも、その」
「なにか用事があるの?」
聞いた俺が馬鹿だった。
突然、何処からともなくスマホが鳴り出した。
しばらく鳴り続け、俺は、出ないの?とハルに促した。
ハルは俯き、スマホを取り出し、耳に当てた。
『早く来いよ!ハル!時間、過ぎてんじゃねーか!』
スマホから誰ともわからない男の怒声が漏れていた。
「す、すみません、すぐ向かいますから」
慌ててハルは電話を切ったが、かなり気まづい空気が漂った。
「あ、その、僕、友人から呼ばれていたものだから...これで」
「あ、うん...またな」
「失礼します」
深々と頭を下げ、玄関を締め切る前にハルが走っていくのが見えた。
きっと、やる相手だろう。
俺とのときのように抱かれ、艶めかしい姿を見せるのか、と思うと、胸が痛んだ。
思わず、ハルの持ってきてくれたケーキの箱を投げそうになったが、寸でのことでやめた。
「....ケーキに罪はないよな」
テーブルに置き、箱を開けると、カップケーキが4つ入っていた。
1つに被りつくと程よい甘さが、俺には何故かとても苦く感じた。
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