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家族会議
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***
ノアの部屋で、ノアとぬいぐるみごっこをしていると、両親達が入ってきた。
話があると父親はソファに座り、膝の上をポンポンと叩く。
「…?」
「ジュード、こちらに来なさい。」
俺はノアを抱えたまま父親の膝の上によっこらせっと乗る。はじめてのことに恥ずかしいが、今は子供と心の中で唱えた。
「………」
「あなた…まずは、ジュードにお礼を言わないと」
「ありがとう」
「いえ…」
「あなたは緊張すると話さなくなるから私が通訳しますね。」
「……すまない」
「まずは、サルメルド公爵についてですが、国王陛下から処罰を受けました。これで少しは平和になったと思われます。
ジュードはたくさん頑張ってくれました。本当にありがとう。さすが、お父さんに似たのね!カメラを見せてもらったけど凄かったわぁ!
ジュードが作ったカメラとかは国には知られたくないのよね?」
「そうですね。色々と面倒なので。」
「でもね、国王陛下にはきちんと説明しなければならないのよ…」
「そうなんですか。面倒ですね…」
「そうねぇ…私もそう思うのだけど、不敬罪で殺されたくないから、今度、お父さんと一緒に城に行ってくれる?」
「分かりました。カメラだけでいいんですよね?」
「えぇ。あとは、3階からジュードが来た時は驚いたのだけど、壁を登ったのかしら?」
「いえ、飛びました。」
「ん?飛ぶ?」
「はい。飛びます。」
指で上を指した。すると母親は「いやいや、まさか」と頭を横に振る。
「いくら天才のジュードでも空は飛べないわよ。だって、偉大な魔法使いさえ飛べないんだから…」
「おにいたん、とべうの?」
「あぁ、飛んでみたいか?」
「あい!」
俺は父上の膝から下りると、少し広いところに移動する。
「まずは1メートル。飛行。」
体が浮くとノアは俺にしがみついた。はじめての浮遊感に驚いて「ちゅ、ちゅごい!たかぁ〜い!」と目を輝かせる。
可愛い…ノアが喜ぶならずっと飛んでいてもいい。
母親は現実を受け入れたくないのか、「えっ…嘘でしょ」と額を指で押した。
「ジュードだからな」と父親は真顔である。
「ジュード、それは誰でもできるのか?」
「かなりの魔力を消費しますが、できると思いますよ。ただ制御が難しく危険なので、あまりオススメはしませんが…あぁ、でも物なら落としてもいいし、物を浮かせるとかなら良いと思います。」
「…そうか」
「教えましょうか?」
「あぁ」
「ちょっ…あなた、教えてもらう前に、こんな大変なことが起きたのですよ!?もし、このことが知られたら…」
「大丈夫。知らないフリでもしておけばいい。」
「もう…キラキラした顔で言わないでください。私はその顔に弱いのですよ…」
いやどの顔ですか…真顔じゃないですか。どうやら父親の表情が分かるのは母親だけらしい。
父親は顔を背けると、両手で顔を隠した。
「飛ぶ魔法は使っても良いですが、これからは人目につかないように使ってください。」
「はい。」
「それと、あの癒しの力は見なかったことにします。ノアちゃんも癒しの力があるのかしら?」
「そうですね。聖属性魔法がありますね。ただ、癒しが使えるかは分かりません。今回、ノアが俺に使ったのは魔力譲渡ですので。」
「そうなのね…3歳で…天才ね…」
「そうですね」
ノアは無意識に俺を助ける天使だね!
ノアは何を言っているのか分からないのか「う?」と首を傾げている。
魔力譲渡も下手をすれば戦争とかで悪用されるかもしれない。絶対に知られてはならないな。まぁ、ノアにどうこうすることはできない。俺がいるし、お守りもあるからな。
「ノアちゃんは3歳だし、私たちがしっかり見ていれば大丈夫だわ。問題はジュード、あなたよ。少しは自重しなさい。」
「はい。屋敷の外では(なるべく)自重します。」
「ならいいのよ。あなたも、息子を視察に連れていくのはいいですが、危険なことに巻き込まないでください。」
「あぁ」
「ノアちゃんのこともあるのに…どうしてトラブルが舞い込んでくるのか…いや、巻き込まれに行ってるわ…」
「…すまない。つい…」
どうやら父親は真顔のトラブルメーカーだということが判明した。
ノアは父親の子供ではなく、父親の恩人の子供である。そしてノアの両親は既に亡くなっていて、その死の原因というのもどうも怪しいらしい。
ふふっ…屋敷のゴタゴタが片付いたというのに…また、新たな問題が発生したのである。
「おにいたん?」
ノアを撫りこしつつ、新しい計画を練る。次は、ノアの両親を殺したであろう人物の排除だ。
大丈夫、絶対に君を悪役になんてさせない。
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