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海6
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くるりんと棒を使って生地をひっくり返していく。まん丸な形が上手くできると、ノアは嬉しそうにできたと言う。
可愛らしいぷるるんな頬を斜め横から見ながら、思い出の写真をパシャリと撮る。決して盗撮などではない。
「楽しそうね」
「母上も挑戦しますか?」
「ええ!」
母親はエプロンを着ると、ジュードから説明を聞きながらたこ焼きを焼いていく。母親のエプロン姿は超レアなため、父親がカメラを出し、パシャリと撮影した。
「・・・思い出だ」
まさかここにも盗撮を思い出と言う同罪がいるとは…
「なかなか楽しいわね」
「今日の中身はタコですが、これをフルーツに変えて楽しむこともできます」
「あら、スイーツにもなるのね!」
「焼きながらパーティーもできますし、何が出てくるか楽しむこともできます」
「今度、お茶会でしてみましょう」
貴族は厨房には立たないため料理ができないイメージはあるが、母親は器用であった。完成したたこ焼きを盛り付けると、使用人達にダイニングルームへと運ぶよう伝える。
テーブルに並ぶのはタコ焼き、カニ、ウツボの蒲焼き、料理長が作った魚のムニエル、などである。
ノアを抱っこして椅子に座らせると、手を合わせて神に感謝を伝える食事の挨拶をする。
この神の名前が乙女ゲームに出てこない名前なのだが…名前が…ハート・アット・リングルである。うん…ぶりっ子が考えそうな名前だ。
「ノアちゃん、私が作ったたこ焼きをどうぞ」
「ありあとごじゃいましゅ(ありがとうございます)」
なぬ!?天使に餌付けだと!!それは俺の役目だ!!
「ノア(俺のもあるぞ)」
ノアの皿には母親と俺のたこ焼きがたくさん盛られている。ノアが火傷をしないよう、たこ焼きを割るとふーふーと冷まして、ノアの口へと運んだ。
もぐもぐと食べながら、ゆっくりと飲み込むと「おいちい」と口を開けた。開けた口にまたたこ焼きを運び、ノアが幸せそうに食べる姿を眺める。
「ジュード様…(お行儀が…)」
「・・・(行儀が悪いのは分かっている)」
そんなことは知ったことか。俺は行儀など知らない子どもなのだ。
「うふふ、、良いお兄ちゃんね。ノアちゃんのおかげで、ジュードも少しは意思表示できるようになったわ。誰かさんに似たから少し心配だったのよね」
「・・・すまない」
「いえ、父上に似てよかったですよ。貴族社会では表情が出ると困る場面もありますし」
「でも、少しは笑顔が無いと、社交で困るわ」
確かに、笑顔が無いと困るかもしれないが、俺は仲良くもない人間ときゃっきゃうふふできるほど精神が強くない。だが、ノアや家族の前くらいは笑えたらいいな…(無理だけど)
「善処します」
「良い人が見つかるまでは頑張りなさい」
良い人ね…見つかるといいが…
ノアの断罪を回避してからではないと、結婚は考えられない。
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