アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
攻略対象【レオン・ハラルド】
-
***
悪役令嬢との茶会の前に王城へとやってきた俺達だが…
華やかな大きな部屋に王族がドンと立ちその迫力にノアが俺の背中から離れないでいる。
ここでノアと第1王子(5歳)と第2王子(3歳)が仲良くしなければ後々困ることになる。
「ノア、挨拶だけしなさい」
「……あい、ノア・キャンベルでしゅ」
挨拶を済ませるとさっと俺の背中に隠れる。
かっかわいい…だが、今は可愛いでは許されない。
背中からノアをぺりっと剥がし、手を繋ぎ横に立たせる。今にも泣きそうな瞳に、心が痛む。
初めて知ったことだが、ノアは人見知りが酷い。
心を許した者だけ仲良くするようだ。
「ここは大人達だけで話すことがある。レオン、庭を案内してあげなさい。」
「…はい」
第2王子は王妃の膝の上で、関わることはなさそうだ。
第1王子である、レオン・ハラルドは乙女ゲームの攻略対象である。俺様キャラで世の女子をキャーキャー言わせた。
だが、俺様というより我儘だが…
不機嫌な様子に、仲良くする気は無いらしい。
「に…たん……」
ノアは第1王子の足の速さについていけないため、息切れしている。ノアを抱っこすると、第1王子の後ろをついていく。
こいつ、案内する気ないな。
花を見ることなくさくさく進むレオンに、つい舌打ちをしてしまった。本人に聞こえていなかったが…
「……なぜ俺がこんな者達を案内しなければならないんだ。それに、そこにいる者は平民らしいな。穢れた血ではないか。」
はぁ?穢れた血?この天使が穢れているわけない。
こいつは変な噂を鵜呑みにしている。しかも、平民を物のように思っている。
「……不満があるなら案内せず、部屋でぬくぬくお休みなさってかまいませんよ?」
ほんと、ノアちゃんの教育に良くない。攻略対象とは仲良くせねばと思っていたが、しなくていい。
「ふん!」
レオンは顔を真っ赤にさせて、そっぽを向いた。
「に…たん、おろちて」
ノアをおろすと、ノアは第1王子の前まで歩き、頭を撫でた。
のっノアちゃん!?ちょっ…そんなことしたら不敬罪で首が飛んでしまう…。ノアの大胆な行動に、内心は真っ青である。
「かなちいの?ないてう…」
「なっ…!泣いてない!!」
レオンがノアに何かしないか、不安だったが、そんなことはなさそうだ。ノアの天使な姿に、レオンもやられている。
この神々しい姿に、レオンの瞳こら一筋の涙が流れた。
「かなちいって」
「うぅ…どうして俺ばっかり…」
号泣しはじめるレオン王子をノアはなでなでしている。
ずっずるいぞ、、、俺だってなでなでしてほしい!!
仕方ない…
俺はレオンの前にしゃがむと、膝の上にのせて涙をハンカチで拭いた。
「どんなに、辛いことがあっても八つ当たりは良くないです。辛いことがあれば、国王陛下に言えば良いのです。陛下は第1王子の話を聞いてくれるはずですよ。」
「そんなの…だって、父上と母上はグレイルばかり見ている。」
グレイルとは第2王子のことである。確かに、グレイルは母親から離れない。それは、体が弱いからである。それに、第2王子は───数年で死んでしまうのだから。
「第1王子…弟ができると兄というものは、親に見られなくなります。俺もそうです。だからと言って親は貴方のこと、嫌いなわけではないのですよ。第2王子は特に体が弱いです。
もし、あなたが体が弱く、そして親にも見向きもされなかったらどう思いますか?」
「……寂しい」
「だから、国王陛下や王妃様は第2王子のことをしっかり見ているのです。
体が弱いということは、先が長くないということです。分かりますか?」
「……わかっている。」
「だからと言って、愛されないのは悲しいですね。」
「あぁ…悲しい」
「では、それをそのまま言えばいいのです。言わなければ分からないですよ。」
「うん。わかった。
……レオンでいいから。」
「はい。レオン様。」
「れおんたま!!!」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
45 / 151