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悪役令嬢3
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***
普通の3歳児なら俺の顔を見れば逃げるか泣き出すかするが、目の前でお茶を飲むこのエリザは普通の態度である。
どうする、あなたは転生者ですか?と聞くか?
いやそれで、は?って顔をされたら恥ずかしぬ。
日本と聞いて、もし知らないのなら、本で読んだと嘘をつけるか。
「日本を知っているか?」
「………にほん」
カップがカチャンとソーサにぶつかる。
緊張とこれまでの苦労の糸が切れ、エリザは目から大量の涙を流した。
「やっぱり、日本人だぁぁぁあ!!!!」
ノアに対する俺の態度が乙女ゲームと違うと気づいたエリザは、自身の破滅フラグを回避するために婚約という賭けにでたらしい。
ぼろぼろと泣き出すエリザに、母親たちが駆けつける。
「ジュード!!!」
「泣かせてません!!!」
「私が勝手に泣いたのですわ!ジュード様のお話に感動して…」
「あら、そうなの?」
エリザの必死な姿に母親も納得した。今は見逃してやるみたいな顔で、「お邪魔してしまったみたいね…」と部屋から出ていく。
足音が消えると、エリザは頭を下げた。
「お願い、同郷の好(よし)みだと思って、私を助けて!死にたくないのぉぉぉお!!!!!」
見た目は3歳だが、精神年齢が45歳のおばさんに縋られる。縋りたい気持ちはわかる。数年後には国外追放されて山賊に襲われ死ぬ運命なのだから。
「…いいですよ。協力します。ノアを巻き込まないと誓うのなら」
「はい!誓います!!」
「即答かよ…。
俺も可愛い義弟が死ぬのは嫌です。
ゲームの強制力が働いて理不尽なことが起こるかもしれないので…エリザ様にはイベントがはじまるまでに強くなってもらいます。」
「ふふっ!これぞ異世界って感じね!!」
「…なんだか楽しんでませんか?死ぬのに」
「楽しんでないとやってられないわよ!!」
エリザと俺は一時的に婚約をすることにした。断罪を回避するには王子と婚約しなければいいのだから、ヒロインと王子がハッピーエンドで終わるまで婚約者のフリをし続け、その後どちらかが好きな人ができたらその人と結婚することにした。
「いやぁ~あなたが攻略対象じゃなくてよかったわ!安心よ!!」
「俺もそう思います。」
ヒロインという八方美人のビッチに関わらないキャラでよかったよ…
「俺の予想だと、ヒロインも転生者の可能性がありますが…」
「そうね…良い人だったら安心なのだけど」
「大体、このパターンは人を蹴落とすタイプだったりしますよね」
「・・・現実を見たくない。」
「見てください。
大丈夫です。一応、緊急用で転移魔法開発中ですので」
「まじ!?チートじゃん!!」
「実はチートキャラでした」
「ずるい!私もチートキャラで無双したかった!!」
「今から頑張ればなれると思いますよ(たぶん)」
エリザをよいしょしつつ、やる気を出させる。これからやることは精神的にも肉体的にもキツイことだ。一応、契約書を作りサインをしてもらう。
「この契約書、私にメリットばかりだけど…
婚約のこととかあなたに負担ばかりかかるわよ。
え~っと……
ノアちゃんを巻き込まない。ノアちゃんに不用意に近づかない。ノアちゃんが危機に瀕している場合は助ける。
ふむふむ、あなたがブラコンだということだけは理解したわ。」
「…ノアの可愛さはそのうち分かるだろう。だが、ノアを変態な目で見ることは許さない。」
「見ないわよ!!あなた私をなんだと思ってるのよ!!」
「能天気変態おばさん」
「私がおばさんなら、あなたもおっさんでしょ!」
「ふっ、まだ30代だ」
エリザと親睦を深めた俺は、正式に婚約を受けることを両親に伝えた。ノアの表情が一瞬暗くなったが気のせいだろう。
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